追い込まれた政策発動は投機の波を浴びる
【2008年8月15日】
前項では、金利差が必ずしも、相対する通貨の優劣に与える影響が、必ずしも学問通りにはいかないことを解説した。
特に、追い込まれた政策発動、金利の引き上げ・引き下げがあった場合には、当局が望む方向と逆に相場が振れることがこれまでも多々あった。
市場は、当局の政策発動が適切な幅か、時期かを注意深くみているもので、それよりも若干早めの政策発動があった場合には、当局の適切な政策対応に敬意を表して、当局の意図する方向に相場が動くことがある。
しかし、多くの場合は、当局の政策対応は、市場が望むタイミングより遅れることがあり、その場合には当局が望まない方向に相場が動くわけです。
市場、特に為替市場は、当局と投機筋が戦っているわけで、当局がちょっとでも弱みを見せると、市場の鬼達は、当局をさらに追い込む動きを見せるわけだ。
過去の話だが、ソロス氏がイングランド銀行と対峙した時は、当時、英国の景気が軟調で、EMSが設定した英ポンドの水準が高過ぎるという市場の思いを上手くついて、大規模介入をイングランド銀行が行っても、それを飲み込む英ポンド売りが集まって、イングランド銀行は一敗地にまみれたこともあった。
これを背景にして、その後のユーロ設立に英国が加入することなく、現在に至っているわけで、投機の怖さはまだまだ認識されていると考えている。
日本は、ここ数年で見ると、介入も行わず、為替相場に対しては、きわめて中立的な姿勢に終始している。
しかし、その前には巨額の円売り介入を行い、世界各国の顰蹙をかったのだが、結局、この介入も市場の投機の波を浴びて、介入額に比べて、その効果は小さかったと言わざるを得ない感じだ。
日本の介入は、投機筋に利食いの場を与えるようなもので、介入手法は稚拙だと言われたものだ。
とはいえ、巨額介入を繰り返すことで、投機筋が円の取引に興味をなくし、その後、東京市場のボリュームや存在感が薄くなってきたこともあった。
これも、一つの介入効果だが、東京市場の存在感の薄さの高まりには当局も、困惑しているだろう。
このように、当局の行動一つで、様々な問題が出てきて、市場を上手に操ることができること、市場との対話が上手にできることが、当局の意図する方向に市場を操ることができるわけだ。
これも、書いているほど、簡単なことではなく、市場は当局の意図と違う方向に行くから市場であって、当局の思惑どおりに市場が動いていくことは、管理された市場でしかないわけで、時に、当局の意図に反する行動を取る市場に対して、当局が懐の広い所を見せれば、混乱は短期日で収れんする可能性があるわけだ。
(この項、2008年2月執筆)
|