日本ではどうなるのでしょうか?

【2009年11月18日】

米国の自動車会社の危機を見ていて、
日本ではどうなるのか、興味があります。

日本では主意のトヨタの牙城は
揺るがないと考えます。

ホンダもその地位を
確保すると考えます。

日本にとって、
自動車会社は2社程度が
生き残れるのではないか、
そんなことも考えています。

その他の自動車会社は、外資の傘下に入るか、
国内で他の自動車会社の傘下に入ることで
生き延びることが出来るのではないか、
そう思っています。

あの広大な米国でさえ、
ビッグスリーが生き残れなかったことを
考えると、日本の狭い国土で自動車会社が、
このまま競争を続けていくのは、
かなり困難なことになる可能性が
強いのではないでしょうか。

もちろん、自動車会社は、
米国や欧州、日本だけではなく、
アジアでも中国や韓国、
さらにインドなどでも
競争力をつけてくると思います。

アジア車が国際的に通用するか否かは
別にして、国内では安価な価格で
十分に通用するのではないかと考えます。

これまでは、日本車がアジア市場だけではなく、
米国、欧州市場を席巻していましたが、
こうした動きは、今後出るとは
考えにくいと思います。

アジア車が、世界で通用するものに
なるにも時間がかかると考えますが、
日本車の一人勝ちはなくなるのではないでしょうか?

日本の経済を牽引し、
日本の産業を牽引していた
自動車業界が厳しい状況になると、
日本の経済は非常に厳しいことになると考えます。

自動車産業頼り、輸出頼りで、
ここまで成長してきた日本であるだけに、
何が日本を支えるのか、大きな課題を
突きつけられている状況には変化がないと思います。

今は、米国のビッグスリーの衰退を
みているだけですが、この流れは直ぐ、
日本の自動車業界にも現れてくると思うのです。

戦後、輸出主導で国力を増大させたことは
誤りではなかったのですが、当時から言われていた、
創造性の無さが今、致命的な欠陥となって、
日本を襲ってくるのではないでしょうか。

(この項、2009年4月執筆)



ついに、クライスラーが潰れました

【2009年11月11日】

本当は、大変な事態だと思います。

米国の象徴のビッグスリーの一角が、
潰れてしまったわけです。

潰れるまでには、
何とか生き残りを図ろうと、
様々な手段を探していたのですが、
結局、生き残ることは
難しくなったわけです。

米政府が全面的な後押しをしても、
いわゆる市場の論理は
排除を支持したわけです。

米国の象徴も、
米国政府の後押しも、
クライスラーの救世主とは
ならなかったのです。

今後は、伊自動車会社フィアットの
傘下に入ることになるのですが、
米国の力の減退を改めて
見せられた思いです。

米国としては最後の砦として、
ビッグスリーが存在したわけですが、
最後の砦が脆くも崩れ去ったわけです。

その前には、
米国スタンダードを
世界スタンダードとしていた、
金融の世界でも、
米国の後退が顕著になったわけで、
米国が世界に誇れるものが、
脆くも崩れ去っているのを、
この時期に見せ付けられているわけです。

クライスラーは、破産しましたが、
フィアットの傘下で全従業員の解雇という
事態は避けられることになりました。

もちろん、フィアットの傘下に入ることで、
従業員の労働条件にも変化があるわけで、
これまでのような他業種を凌駕する条件では
仕事が出来ないということにもなるわけです。

そうしなければ、仕事が続けられない、
そんな厳しい状況にあるわけですが、
それでも、今まで吸っていた、
『甘い汁』を忘れることが
出来るのでしょうか?

きっと、自動車労組は、
何か有利な条件を
隠しているのかもしれません。

それほど、
今回のクライスラー救済には、
何か裏があるのではないかと
思えないこともありません。

米国は何でもありの社会なので、
きっと何かを隠している可能性もあります。

しかし、クライスラーの処理が
無事に済んだことで、市場も
安心感を強めているように、
これが米政権にとっては
フォローの風になっていることは
間違いありません。

厳しい姿勢を見せる一方で、
将来に繋がる決断を下したという
評価が出来るのかもしれません。

それにしても、
時代に遅れた企業が生き残ることは、
世界レベルで難しいと考えます。

今まではビッグスリーという名の下に、
存続が許された自動車会社は、
こうして市場から退場していく、
そんな良い見本と言えるのではないでしょうか。

(この項、2009年4月執筆)



深刻さは過小評価?

【2009年11月5日】

世界的な経済危機、金融危機は
今年の1~3月で底を打ったとの
評価が強まっています。

G7やG20では、世界経済の減速が
今年後半には回復に向かうという
見方に固まりつつあります。

4月前半のロンドンでのG20で
示された努力目標を、各国が
どこまで出来るかが、大きなカギとなります。

しかし、この努力目標が
実現可能なものとして
一人歩きしている感もあります。

世界経済回復のために、
各国が努力する方針が
決められたわけですが、
米国提唱のこの努力目標に、
欧州サイドは懐疑的な見方を
示しています。

むしろ、そこまでの危機は
欧州にはないとする姿勢を
強めている感じがあります。

金利についても、
一段の利下げに踏み込むよりも、
利下げ後の動き、いつ金利を
引き上げるかに注力している
ような感じがします。

インフレ恐怖症というのでしょうか、
インフレは何が何でも阻止する
ということに、重点目標を
置いているようです。

しかし、そうは言っても、
次回のECB理事会では
利下げを余儀なくされると
考えています。

必ずしも納得していない
利下げに踏み切らざるを得ない状況に
欧州は追い込まれていると思います。

また、米国も金融危機、経済危機は、
これだけの政策を矢継ぎ早に行ったことで、
回復の芽が見えているという姿勢を強めています。

確かに、オバマ政権になって、
様々な策を打ち出していますが、
その結果は、まだ出ていません。

先行き、期待感は膨らんでいますが、
実際には何も結果は出ていません。

それでも、
先行きの景気回復は間違いないことと、
強く主張しなければならないのは、
これだけ巨額の税金を投入して、
結果が出なかったでは済まないので、
そうした発言は多くなっていると考えます。

日本は、バブル崩壊後、
何度も景気回復について、
騙された経緯があり、
それを白川日銀総裁は講演で語っていますが、
日本の轍は踏まないと決め付けている
米国にとって、この言葉を素直に聞く耳は
持っていないと思います。

あれだけ急速に経済が悪化し、
今後失業率は米欧で二桁に乗せると
思われている中で、経済の回復が、
そう容易く出来るとは
考えにくいのではないでしょうか。

雇用が確保されなければ、
まだまだ経済の低迷が続くと
考えるのが常識的な
考え方ではないでしょうか。

公的資金投入などで、
企業は生き延びるかもしれませんが、
雇用が回復しなければ国民は救われません。

まず、雇用の回復を確認することが、
経済の回復を確認できる
唯一の手段ではないかと思います。

今、欧米の政権は、
経済の深刻さを
過小評価することに懸命です。

経済は年内に回復軌道に乗るという、
幻想を振りまくのに必死です。

深刻な状況を、何とか隠したい、
救われないのは国民だと考えます。

(この項、2009年4月執筆)



経済指標は傾向で読むのが大事です

【2009年10月29日】

経済指標で一喜一憂する
同輩が多く見られています。

単月の指標の好悪を材料に、
為替相場は大きく動きます。

また、単月の振れで
大きく上下することが、
為替取引の醍醐味と
なっていることは
言うまでもありません。

しかし、最近の経済指標に対する
市場の見方の節操のなさは、
何ともいえません。

そんなに2カ月や3カ月で、
評価が違うことはないと思うのですが、
実際には単月で評価が正反対になることも
少なくありません。

本当に、経済指標をきちんと
評価しているのでしょうか?

そんなことは、
為替ディーラーには出来ないことで、
その材料が買いか、売りかを即座に判断し、
結果として勝ち組に入ることが重要なので、
為替ディーラーにとっては
経済指標はどうでも良いことです。

しかし、それを解説するエコノミスト、
アナリストも、為替ディーラーと同じ次元で
いることに不思議でなりません。

本来、経済指標は単月で評価するのではなく、
3カ月、あるいは6カ月の傾向を見て、
どのような経済状況にあるのかを見極めるものです。

日本の経済指標も一緒で、
例えば、機械受注は単月の振れが
大きいために、最低でも3カ月の傾向を見て、
どちらの方向にあるのか、
確認するものです。

今、世界は、
世界経済の行方が
どうなるのかを注目しています。

中でも、米国の経済指標は注目の的です。

米国経済が回復しなければ、
世界経済の回復はない、
そう考えられるわけだからです。

米国の経済指標も、
単月では、振れが激しいもの
となっています。

特に、小売部門の数字は
振幅が激しいものです。

傾向的には、
小売売り上げはまだまだ景気の
回復を示すものにはなっていません。

しかし、時によっては、
小売売り上げが突発的に
良い数字を示すことがあります。

そうすると、
米国経済の先行きは明るくなってきた、
そんなコメントが聞かれます。

市場はそうしたコメントに
反応してドル買いを進めるのです。

その後発表された経済指標は、
米国経済がまだまだ霧の中に
入っていることを印象付けるわけで、
1カ月後に発表された小売売り上げが
低迷して、米経済の回復は
遠退いたと判断されるわけです。

しかし、これも単月での判断に過ぎません。

前年同月がどのような状態で
あったか確認しながら、
実際に小売売りがどのような
状態かを見極めることが出来るのです。

一喜一憂しない、
それが経済指標を見る上で
一番大事なことだと思います。

(この項、2009年4月執筆)



資金は海外に流出へ

【2009年10月22日】

年度明け相場が本格化する中で、
資金は海外に流出する動きが強まる
可能性が強まっています。

米国でも経済の先行きに仄かに
明かりが見えてきたとする、
オバマ大統領の発言があったり、
自動車会社の救済、破綻も
そろそろ先が見えてきた中で、
市場に混乱をもたらすような
結果には終わらないとの期待感があります。

さらに、市場は大手自動車会社の破綻を
織り込み始めている、サプライズには
ならない可能性があるわけです。

それに対して、わが国では
三大メガバンクが赤字になる可能性が
強まる一方、企業収益の悪化が鮮明になる
とみられる中で、海外に対する資金流出圧力が
強まると思われます。

機関投資家の新年度の投資方針が
決められる中で、従来どおり、対外投資が
活発化するものと考えられます。

新興市場国向けは、そこそこの水準に
とどめられるものの、米国向け投資、
欧州向け投資はそれなりの水準で
盛り上がるものとみられます。

ドル円でみたら、
100円前後の水準は
美味しい水準だと考えます。

米国経済に比較し、
日本経済の鈍化が著しい状況の中で、
少なくとも数字的には、米国の方が、
今回の危機を先に抜けるような
印象を与えています。

政府の対策も、緊急、
かつスピードのあるものとなっており、
投資妙味も出てくる可能性があります。

この4、5月にはまとまった量で、
米国に向けた投資資金が
振り向けられると思います。

為替はじりじりと円安が進み、
金利差、為替面で収益があげられる
可能性が強いと考えます。

加えて、今年のゴールデンウィークの
海外旅行をする人が増加する模様ですので、
こうした旅行に絡んだ円売りも
出てくるものと思います。

米国政府の言っていることが
間違いないならば、そして市場が
それを信じていけるならば、
当面はドル高が続くと考えて
良いのではないでしょうか。

あくまでも、それが真実ならばです。

(この項、2009年4月執筆)



金利差意識の年度明けに

【2009年10月16日】

年度明け相場は、
意外に平穏ではなく、
意外に美味しくなりそうです。

4月2日にロンドンで
開催されたG20では、
世界経済の悪化打ち止め策で
まとまりました。

欧米の対立が
懸念されていましたが、
世界経済のこれ以上の悪化を
食い止めるために、総論で
まとまったという印象です。

これを受けて、
新興市場国通貨、東欧通貨、
オセアニア通貨が堅調な動きに転じ、
不透明感が一気に払拭された感じです。

これを受けて、金利差が
再び意識される動きになっています。

低金利の円を売って、
高金利の通貨を買って
運用する動きが
強まっているようです。

年度明ということで、
対外投資に向けた動きが
出始めるときですが、
高金利通貨債に投資する
絶好のチャンスが
やってきたということです。

これまでは、
世界経済の不透明感が
新興国市場の経済悪化につながり、
新興市場国から資金を引き上げる
動きが強まっていました。

結果として高金利でも、
投資は出来ないという
構図になっていたわけです。

しかし、世界経済悪化に
打ち止め感が広がる中で、
新興市場国の経済も、
再び上昇に転じるという
見方が強まっているわけです。

そのテンポがどの程度のものかは、
まだまだ検証が必要ですが、
先が読めない不透明感が
大きく変化したのは事実です。

こうした不安感が解消される中で、
元の道にまた戻るわけです。

金利差を意識した円キャリートレードです。

金利の低い円を調達して、
それで高金利通貨で
運用するというものです。

もちろん、円キャリートレードを
積極化させてきた、
ヘッジファンドは
かなり痛んでいるので、
これまでのようなことは
ないかもしれません。

あるいは、G20で
ヘッジファンドに対する規制が
決まった分だけ、動きにくいと思います。

ただ、生き残っている
ヘッジファンドにとっては、
千載一遇のチャンスです。

再び、生き残れる手段が
目の前に見えてきたのです。

もちろん、規制をかけられる前に、
キャリートレードを行う動きが
出てくると思います。

個人投資家にとっても、
千載一遇のチャンスです。

高金利通貨債、
この場合は、
まず短期債を購入して、
金利差、通貨高の
妙味を味わうのです。

この場合、
オセアニア通貨債がお勧めです。

早くも通貨は一段高となっていますし、
金利もそろそろ打ち止めとなる
可能性が強まっています。

金利と、通貨高で
旨みを享受できる、
そんな予感がしています。

(この項、2009年3月執筆)



今年の年度明け相場

【2009年10月9日】

年度明け相場の常として、
年度末相場の裏返しと
なることが少なくないと思います。

年度末相場は、
収益の本国送金、
リパトリが円を支える、
上昇させる要因となるのです。

しかし、年度明けには、
そうした動きが一転、
新年度の新規の対外投資に伴う、
円売りが強まります。

株価も、年度明けの声を
聞くと堅調に推移、
こうした動きも
円にとっては売り材料に
なったものでした。

機関投資家は4月以降、
下旬にかけて新年度の
投資戦略を決定します。

あるいは投信の設定も
4月以降に始まります。

全ての流れが外貨に向かうわけで、
円にとっては売り材料が
並ぶということになります。

とはいえ、
円が史上最高値を記録したのは
4月のことなので、
必ずしも、この法則が
当てはまるわけではありません。

あの当時は、
円買い・ドル売りが流れとなって、
アジア中銀の円買いが後押しする形で
円の史上最高値が演出されたわけです。

そうした特殊な要因がなければ、
円買いが強まる季節ではありません。

さて、今年はどうでしょうか?

日本の経済は大きく落ち込んでいて、
日銀短観などでも、
足元、先行きとも見通しは
厳しい状況になっていると思います。

金融危機については、
ロンドンで首脳会議が開かれ、
足元では安心感が
広がっていると思います。

一方、米国では依然として、
景気・金融危機が残っていますが、
オバマ米大統領は、
景気の先行きに対し、
明るい見通しを述べています。

米国の早い対応策が
実を結ぶとの期待が
鮮明になっているわけです。

米国に投資資金が
流入する流れを
作ろうと必至の情勢で
あることが見て取れます。

これに対し、
日本は政治の停滞が
依然として続き、
機関投資家は
新年度の外貨投資を
積極化させることが
予想できるわけです。

つまり、例年通りの、
場合によっては例年以上に、
外貨投資が活発化する
可能性が残されていると見ます。

材料は慎重に見極める
必要がありますが、
4月半ば以降に、
米国で新たな金融危機、
企業の危機が起こらない限り、
外貨投資を背景に、
円安が進む可能性が
あると考えます。

(この項、2001年3月執筆)



年度末相場は、意外に平穏?

【2009年10月1日】

以前のように、
年度末相場が荒れることは
少なくなっているようです。

ここ数年、
年度末相場で、確かに、
円買いが強まる動きが出ていますが、
以前のような一方的な円買いの
動きは見られていません。

これは、年度末の為替レートが、
3月月中平均レートを適用するなど、
年度末の一日の、
それも午前10時頃の水準が
年度末レートとならなくなった
ことが大きいと思います。

以前は、
3行の輪番方式による
値決めがされていたことで、
ポジションが偏っている銀行が、
そのポジション睨みで年度末相場を
荒らすことがありました。

いかにも、不自然な値決めで、
当時は外資系銀行から、
ブーイングが起きました。

万一、外資系銀行が
値決めをすることになれば、
きっと、自行にとって有利な
値決めをすることになったと思います。

つまり、
不自然な値決めが行われたことで、
年度末相場が大きく荒れる
要因になったともいえるわけです。

それがなくなった分、
相場は荒れない、
そうともいえると思います。

本来、
年度末相場が荒れる要因は、
日本への利益送金の動きが
大きな要因であったはずです。

輸出企業、機関投資家が
ドルを円に買える動きが出ることで、
ドル安・円高が進むという構図でした。

しかし、今年の場合は、
昨秋以降の世界経済の
収縮をきっかけに、
わが国輸出企業の売り上げは急減、
年度末を意識させるほど、
円転する動きは出ないのでは
ないかとも思います。

とはいえ、
収益を日本に戻す動きは
なくならないわけで、
劇的な動きはともかく、
円の下値では着実に
円を買う動きが、
米ドルだけではなく、
ユーロ、その他通貨でも
起こると見ています。

今は、世界的な金融危機、
経済危機で、何が起こるか
分からない状況にあるわけですが、
円が下押しされる場面では、
年度末を意識した円買いが
円の下値を抑制すると
考えたほうが良いかと思います。

(この項、2009年3月執筆)



銀行経営者は、大丈夫だと言うけども・・・

【2009年9月24日】

銀行の国有化について、
米欧では、
様々な議論が浮かんでいます。

短期的な銀行国有化論も
出ています。

しかし、
肝心の銀行経営者からは、
強気の声があがっています。

銀行国有化に反対する
姿勢を示しています。

シティも、バンカメも、
最高経営責任者が
銀行の固有化について、
異論を述べています。

その前に、公的資金を
巨額のボーナス資金に使った、
言い訳を聞きたいと思うのですが、
銀行家というのは、
自分さえ、お金を
手に入れることが出来れば、
後はどうでも良いと
考える人種らしいですね。

今回の金融危機は、
きっかけは
サブプライムローン問題に
あったのかもしれませんが、
問題の本質は、
もっと根深いところに
あったような感じがします。

米国の金融機関は、
金儲けに走って、
金儲けが至上命題に
なっていたような気がします。

そのために、
金融工学を駆使して、
不良債権になる
可能性のあるものを
優良債権に換えて
売り出したわけです。

目先の利益が上がれば
何をしても良い、
そんな発想だったようです。

そして、
目先の収益をあげて、
多額の報酬を得る、
それが当然の行為と
考えていた節があります。

今、米政府は、
金融危機の尻拭いとして、
金融機関に公的資金を
注入していますが、
金融機関の関係者は、
公的資金を自分たちの
報酬に換えても、
恥を知らない、
そんな人種のようです。

その最高経営責任者が、
銀行は国有化されないと
言っても信用できないわけです。

金融危機の種を蒔いた
張本人であり、
公的資金を注入されても、
自分たちの利益のために使っていた、
それだけでも、
信用できないことが
分かるかと思います。

金融システムは、
経済の血液、
金融システムを遮断させたら、
大変なことになる、
そういわれて、
金融機関は守られています。

しかし、
肝心の中身が腐っているなら、
これは新しい血を
入れ直さないといけないと
考えられます。

米国や欧州で
模索されているように、
金融機関の国有化を行って、
一時的に金融機関を
政府の管理下において、
腐った血を入れ替える
必要があると考えます。

そこまで、
思い切った手を入れないと、
将来、再び
サブプライムローン問題のような
金融危機が起こると思います。

はっきり言えば、
金融機関に自浄能力はありません。

今、彼らが大丈夫と言っても、
それは言葉の上だけのことです。

行き詰れば、
恥も外聞もなく、
また政府に公的資金の
注入を求める。

政府に介入されたくないために、
国有化は反対。

潰れたら、
経済に多大の悪影響を
与えると脅す。

それの繰り返しのような
感じがします。

大丈夫と言われても、
信用できません。

(この項、2009年3月執筆)



欧州でも国有化?

【2009年9月17日】

英国では3月7日に大手銀行の
ロイズ・バンキンググループへの
政府の出資比率が65%に上昇し、
実質国有化されました。

英国ではこれまで、
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドも
実質国有化されており、欧米の中では、
英国の銀行国有化に先んじていたわけです。

英国では住宅バブルの影響が強く、
未だに住宅価格は下げ止まりません。

こうしたことを背景に、
銀行経営が厳しい状態に陥ったわけです。

英政府は、
銀行の国有化について躊躇せず行い、
金融危機の後始末を
急いで行っているわけです。

それでも、
英国経済は立ち直りの気配を見せず、
政策金利は史上最低の0.5%まで下げ、
さらに量的緩和に踏み込みました。

とはいっても、
これで英国の金融危機、
経済危機が終焉するとは思えません。

この波は、欧州にも伝わっています。

ドイツでも
一部金融機関の経営危機が伝えられ、
イタリアでも、フランスでも、
金融機関の経営不振が聞こえてきます。

もちろん、他のユーロ圏でも、
金融危機は根強いものがあり、
米国に次いで、金融危機の嵐が
未だに収まっていないということです。

この嵐が収まらない限り、
経済が落ち着くことはないと考えています。

ECBでは、
早くも経済回復後の政策金利の
引き上げを考えていることが、
垣間見られていますが、
金融危機は今後、
さらに広まるものと見られ、
利上げは時期尚早だと思います。

それでも、
インフレを抑制するほうが優先するという、
ECBの姿勢には改めて驚いています。

とはいえ、
米国から来た波は、英国に伝わり、
脆弱な国々の金融機関は既に潰れ、
今度は欧州大陸に波及する、
その流れが目に見えるようです。

欧州でも、米国のように、
大き過ぎて潰せないようです。

4月のロンドンで開催されるG20で、
金融安定化策がどれほど具体化するか、
欧州内の対立で、
まとまらなくなるか否か、
注目されます。

欧州大陸と、
英国の考え方の違い、
フランスとドイツの違い、
欧州域内の対立が、
金融安定化策を
実効性のないものにしてしまう、
そんな恐れがあります。

(この項、2009年3月執筆)



米国で流行る国有化?

【2009年9月10日】

資本主義の牙城である米国で、
金融機関の国有化が始まりました。

企業の国有化は、
旧ソ連の得意とするもので、
その共産主義との戦いに勝利した、
米国が共産主義顔負けの
銀行国有化という
手段をとらざるを得ない状況に
追い込まれています。

米国では、企業は自由な競争の中で、
力を蓄え、物を売り、人を雇い、
資本主義を謳歌していきました。

政府の介入を排除し、
市場の原則によって、
競争社会を作り上げ、
アメリカンドリームを
追い続けてきたわけです。

それが破綻したのは、
行き過ぎた
金融資本市場主義の破裂でした。

金を儲けたもの勝ち、
どんな手段でも金を儲けたもの勝ち、
拝金主義の国が、
行き過ぎた拝金主義に
飲み込まれたわけです。

銀行は経済の血液だ、
大き過ぎて潰せない、
そんな言葉が虚ろに聞こえるほど、
金融機関はしたい放題、
やりたい放題のことをして、
そのつけを公的資金に
頼っているわけです。

いくらお金を注ぎ込んでも、
金融機関が行ったつけは
払いきれません。

公的資金にも投入にも
限度があるわけです。

米政府は、ついに、
銀行の国有化という
禁忌に踏み込んだわけです。

銀行は、政府からの公的資金を、
ちゃっかり自分たちの
ボーナスの原資にして、
とんでもない額のボーナスを
手に入れたというのですから、
開いた口が塞がりません。

さらに、自動車会社も危機に瀕しています。

これまで米国の象徴として
存在していた自動車会社が
存在の危機に瀕しているわけです。

政府は、これも救おうとしています。

そんな余裕はあるのでしょうか。

そんな非効率なことをして
大丈夫なのでしょうか。

米国は、旧ソ連の道を
ひた走っているような感じです。

効率の悪い、
経済が生まれるような感じがします。

国有化では解決しないことを
一番良く知っているのは米国でしょうが、
今まさにその道に足を踏み入れました。

米国的資本主義の全てを
否定するつもりは毛頭ないのですが、
国有化でしか、問題が解決しない、
そんな状況を作った、
米政府、米企業の見識のなさが、
今の世界危機の元凶だと改めて思っています。

(この項、2009年3月執筆)



弱者のための金融機関は『ゆうちょ』銀行?

【2009年9月4日】

金融機関が、
競争を余儀なくされる中で、
口座維持手数料を顧客に求めるなど、
金持ち優遇策を鮮明にしています。

その金融機関の口座を維持するには、
普通預金が50万円以上ないと、
手数料が取られることになります。

普通預金口座で
50万円のお金が置かれていない、
貧乏人は、
その金融機関の口座を持つ
資格はないということです。

確かに、
様々な競争に晒されている
金融機関にとって、
そういう差別化が
必要なことは理解は出来ます。

普通預金で50万円を
置いておける余裕のない人が、
そういう金融機関の口座を
持ってはいけないのでしょう。

金融商品は、
色々豊富にありますが、
お金のない人には、
手が出せないものばかりです。

そういう意味で、
大手金融機関は、
お金のない人は見限ったのです。

また、信用金庫など、
中小の金融機関は、
年金を当て込んだ商品を作るなど、
それなりの商品構成を
考えているようです。

旅行や金利上乗せなどの
優遇策が打ち出されていますが、
これもそれ相当の預金額が
あってのことです。

ある程度、まとまったお金を
持っている人を対象にしている
ことになるわけです。

これに対し、
ゆうちょ銀行は、
もちろん、
ある程度まとまったお金を
持っている人の口座開設を
求めているのでしょうが、
公的な役割を演じています。

ニュー福祉定期預金を継続して、
弱者の意向に応える預金を
維持しています。

ニュー定期福祉預金は、
預入期間1年間の定期預金で、
通常の定期預金利に
現在なら0.25%を上乗せした
金利が適用されます。

この定期預金を利用できるには、
様々な条件がありますが、
障害者、母子家庭、高齢者などが
その対象になっています。
大手金融機関や中小金融機関では、
そうした取り組みは出来ず、
ゆうちょ銀行に残された
優遇措置かもしれませんが、
これはゆうちょ銀行にとっては
強みだと思います。

弱者のための、ゆうちょ銀行、
いつまでその立場を
維持できるのか、注目しています。

(この項、2009年3月執筆)



世界恐慌3

【2009年8月28日】

当初、日本では、
世界恐慌を実感する向きは
少なかったようです。

昨年9月のリーマンショックも、
米欧の金融機関が関与している度合いが強く、
日本の金融機関はバブルの後遺症で、
その影響は軽微との見方が多かったようです。

金融関係者の発言を見ても、
日本の金融機関は
サブプライム関連商品の購入は
少ないとの指摘がありました。

しかし、時間の経過とともに、
サブプライム関連商品を購入している
金融機関が少なくなく、
社会福祉法人なども
そうした商品を購入していることが
明らかになりました。

その後の世界経済同時不況にも、
当初は日本は大丈夫と
指摘する声がありましたが、
自動車会社が派遣や期間工切りを行い、
自動車会社の収益が
急速に減少していることが
明らかになりました。

昨年末にかけては、
自動車会社だけではなく、
家電、その他製造業の派遣切りが
社会的なブームになるなど、
日本の経済も
大きく減速していることが
明らかになったのでした。

年明け後、
発表された日本の経済指標は、
確実に日本経済が減速に向かい、
その速度は予想を大きく
凌駕するものであったことも
明確になりました。

日本企業は、
派遣切り・期間工切りだけではなく、
正社員の労働時間短縮、
正社員のリストラを行なうことも
明言するなど、日本経済の減速が
大きな問題になってきました。

普通、日本人は慎重の上にも
慎重な姿勢を見せるのですが、
昨秋以降の世界金融危機、
世界同時不況が
明らかになった時点で、
日本は大丈夫、
そういう声が強かったものでした。

その後も、日本経済は大丈夫、
そんな声が聞かれていましたが、
自動車輸出の予想外の減少等々、
世界同時不況の荒波は、
今や日本経済を
大きく揺るがしています。
当初の安心理論を覆す、
規模・スピードで日本経済にも
世界同時不況の大波が
襲ってきたということでした。

確かに、雇用情勢も悪化し、
企業経営も厳しくなっていますが、
その一方で、
日本では高級宝飾品がまだ売れています。

世界的には、昨秋以降、
高級宝飾品の売上が
大きく落ち込んだのでしたが、
日本では円高効果もあって、
昨年末にかけて、
高級宝飾品の売上が
前年比プラスで推移するなど、
世界同時不況の中で、
日本の健闘が目立っています。

高級宝飾品を販売する会社では、
円高を受けて、
商品の値下げに踏み切り、
さらに日本での販売アップを狙っています。

日本は、こんな時にも、
高級宝飾品が売れる、
そんな国になっているようです。

一方で、いきなり仕事や
住むところを失って、
絶望の声が聞かれる中で、
不要不急の高級宝飾品が
売れているという矛盾、
日本ならではないでしょうか?

こういう状況を見ると、
世界の同時不況の波は、
まだ日本では
報道されているほどではない
と見ることができると思います。

メディアの報道が、
ある意味、大袈裟すぎた、
そんな評価が出来るかもしれません。

高校や大学の払い込みが
滞っているという報道もありますが、
これも、
滞っても何とかなりそうだとして、
払い込みの優先順位が
下がっているのかもしれません。

中学生や小学生の給食費と
同じ論理が
展開されているのかもしれません。

確かに、日本も厳しい状況にありますが、
世界で比べれば、
まだまだ不況は
どん底ではない気がします。

余裕がある分、
本当に不況の波に飲まれた時は
恐ろしいことが起こる、
そんなことを考えています。

(この項、2009年2月執筆)



世界恐慌2

【2009年8月21日】

米国、欧州、日本など、
先進国の深刻な景気後退は、
発展途上国はもちろん、
新興国にとっても、
大きな影響を与える
可能性があります。

アイスランドが
金融立国を目指して、
大失敗したのは、
金融に頼りすぎた結果と
言えることができると思います。

漁業を中心に成り立っていた
アイスランドの経済が、
欧州や米国の繁栄を見て、
その真髄が「金融」だと悟って、
金融立国に大きく舵を切ったことが、
サブプライムローンの
化けの皮が剥がれた時に、
国の存在そのものを
危うくする結果に繋がったわけです。

しかし、アイスランドは、
自分から積極的に
舵を切ったわけですから、
そういう意味では
やむを得ないと考えます。

周囲に、巨大な金融産業が
ある位置にあることで、
その影響を受けたことも、
ある意味、仕方のないこと、
そうとも考えられます。

しかし、発展途上国、
新興国にとって、
今回の金融危機は、
想像もしないことです。

確かに、これらの国々には、
欧米金融機関が牙を剥いて、
利益を吸い取ろうとして
参入していたのでしょう。

そして、
これらの国々のインフラ整備等に
多額の資金を注ぎ込んで、
果実を得ようとして、
存在感を大きくしていったと思います。

しかし、金融バブルが弾けると、
発展途上国や新興国の思惑を無視して、
さっさと資金を本国に引き揚げ、
結果として、
金融バブルの美味を
味わっていなかった発展途上国、
新興国に塗炭の苦しみを
与えただけで去っていったわけです。

これらの国々が成長するために、
必要な道具を準備しながら、
結局、
膨大なくずの山を
残して去っていったわけです。

恐らく、これらの国々は、
国を挙げて、
こうした金融機関に協力し、
外資を国内のインフラ整備等々に
招きこんで、国の将来を
設計仕様したと考えます。

それが簡単に、
国のグランドデザインを
放棄されてしまい、
ある意味、茫然自失の状態に
あるのではないでしょうか?

もちろん、
西洋的な資本主義が必ずしも
正しいとは考えてはいないでしょうが、
結果として、
西洋的資本主義、
米国型の市場主義が
勝利を収めた感がある中では、
それを国のグランドデザインを
作る工程に入れることが
豊かな国づくりの原点と
考えた国は少なくなかったと思います。

そういう努力が、思いが、
簡単に踏みにじられたわけで、
金融も経済も、
米国流市場主義で
ずたずたにされた、
そう考えている向きが
少なくないのでしょう。

この後始末は、
当然米国だけでは出来ず、
G20の枠組みで、
話し合うことになりましたが、
発展途上国、新興国にとって、
米国の失敗の後始末を
押し付けられることに対して、
強い不満があるのではないでしょうか。

(この項、2009年2月執筆)



世界恐慌1

【2009年8月13日】

世界恐慌の本当の怖さは、
これからだ、
そういう気がします。

今、発表されている米国、
欧州、日本、その他地域の
経済指標を見ると、
まさに、
各国・各地域の経済が
急速に悪化するのを
示すものとなっています。

昨年暮れに思っていたよりは、
その底は深く、
いつ、どんな
タイミングで持ち直すか、
そんな議論が陳腐に
見えるような感じです。

米国では相変わらず、
住宅部門の指標が下げ止まらず、
これが立ち直らない限り、
米経済の復活はないことで、
先行き不透明感が
一段と強まっています。

住宅部門の悪化が、
住宅・建設だけではなく、
小売り等にも波及、
自動車産業は言うまでもなく、
米国の全産業に
広がっている状況です。

さらに、
金融機関に対する
公的資金注入だけではなく、
自動車産業はもちろん、
全産業に対する公的資金注入の
必要性が指摘されています。

まさに、資本主義が崩壊し、
ある意味、企業の国営化、
そんな動きが急速に
進んでいる感じです。

資本主義は、
共産主義を
打ち破ったはずなのに、
増殖した強欲な
資本主義が
資本主義自身を
飲み込んでしまった、
そういう印象が強いです。

オバマ新政権は、
経済の非常事態に対して、
早急な対策を
迫られているわけです。

大型で、効果のある対策を
迫られているのです。

そのためには、
巨額な資金が必要です。

財政規律を無視してでも、
政府の援助は
避けられないわけです。

いつまで、そんなことが
続けられるのでしょうか?

無限に政府が
支援し続けることは
出来ないと考えます。

しかし、無い袖も今は
振らなければなりません。

そうしないと、
米国発の景気悪化が
世界中に蔓延し、
世界経済を破壊する
恐れさえあるのです。

それにしても、
欧州、英国などの
金融危機、経済危機を受けて、
ドルが安定的に推移しているのは
不思議な現象です。

オバマ新政権に対する期待感や、
次々打ち出される経済対策を睨んで、
期待がドルを支えている、
そんな感じです。

しかし、
これだけ経済指標が悪化して、
当初策定された経済対策では
不十分なことが
次々と明らかになる中で、
ドルが動揺しないのは、
ドルに替わる通貨が
ないからなのでしょうね。

(この項、2009年2月執筆)



通貨ペアの妙、掛け算通貨

【2009年8月6日】

もう一つ、掛け算通貨には、
英ポンド・円、豪ドル・円、
NZドル円があげられます。

英ポンドは、欧州統一通貨
ユーロに参加しなかったことで、
その動きは特異なものがあります。

日本から見ていると、
ドル・円、ユーロ・円の動きを見れば、
英ポンド・円の動きも分かるかと
錯覚するのですが、実は、
英ポンドは、対ドルでの動きとともに、
対ユーロでの動きが重要になります。

ユーロ・円の場合は、
米ドルの動きを睨んでいれば、
ある程度、ユーロ・円の動きも
想像がつきました。

米ドルに対して、
円と同じような動きをするのか、
正反対の動きになるのか、
その辺りの見極めが難しいのですが、
それでもタイムラグを持ちながらも
動きは予想でき、
結果に納得が出来る側面がありました。

しかし、英ポンドの場合は、
対米ドルとの動き、
対ユーロでの動きが、
英ポンド自身の動きに
大きな影響を与えます。

むしろ、対ユーロでの動きの方が、
対米ドルとの動きより
大きくなることがあります。

これは、対ユーロでの貿易取引が
英国では大きいということが
あげられると思います。

外国為替の動きは、基本は貿易取引です。

資本取引も同様です。

英国にとって、ユーロとの取引は
切っても切り離せないものです。

欧州連合に加わっている英国にとって、
統一通貨ユーロには
加わってはいないものの、
欧州大陸とは切っても切り離せない
関係が強固に成り立っているのです。

となると、日本人が考える以上に、
欧州統一通貨ユーロと、
英ポンドの関係は、
密接なものとなっているわけです。

欧州大陸と英国との関係は、
微妙なものがあります。

その辺りの情報が
どこまで流れているのか、
分かりにくいところです。

単純に英国の経済が悪化した、
だから英ポンド売りには
ならなかったりするので、
分かりにくい通貨となっているわけです。

そういう意味では、
英ポンドと、ユーロの関係を
まず先に考えて、
その結果、英ポンド・円が
どう動くと考える必要が
あるかと思います。

(この項、2009年1月執筆)



通貨ペアの妙、ユーロ・円

【2009年7月30日】

ドイツマルクの流れを継ぐ、
欧州統一通貨ユーロは、
掛け算通貨となりました。

ドイツマルクの時には、
割り算通貨で、
マルク・円のレートは、
ドル・円レート÷ドル・マルクレートで、
マルク・円のレートが算出できたわけです。

しかし、ユーロは、掛け算通貨となり、
ユーロ・円のレートは、
ドル円レート×ユーロ・ドルレートで、
ユーロ・円のレートが
算出できるというわけです。

ドル・円の場合は、
ドル・円単体で考えればよかったのですが、
ユーロ円になると、
ユーロ・ドルのレートが大きな参考材料になり、
ユーロ・ドルの動きが、
ユーロ・円の動きに大きな影響を与えるわけです。

逆に、ユーロ・円の動きが、
ユーロの対ドルレートに与えることもあり、
同時に、米ドルの材料、
ユーロの材料を吟味しないと
いけないことになります。

特に、ユーロの場合は、
まだ欧州統一通貨に参加していない、
欧州、旧東欧、ロシアなどの
地政学的リスクが大きな影響を
与えることがあり、日本では入りにくい
情報で上下することがあるので、
ユーロ・円取引で稼ぐのは
非常に難しいことになります。

マルクの時も同じように、
欧州内の材料で、
マルクが上下することがあったり、
ドイツ連銀が市場に介入を行うことを示唆し、
それを受けて欧州系の銀行や
投資家がマルク買い、
あるいはマルク売りに
傾斜していることがありましたが、
日本にはその情報が伝わらずに、
大きな損失を日本の金融機関、
商社が被ったことがあったものです。

日本人にとって、
マルクなど、欧州通貨は鬼門、
そんな話が良く流れていました。

しかし、今では、
欧州単一通貨ユーロとなったことで、
ある程度、
その動きは読み取れるようになりました。

以前は、欧州通貨制度の中で、
マルク、フランスフラン、イタリアリラ、
英ポンドなどが、バンドの中に入っていて、
そのバンドを逸脱するような
動きになった時、新たなバンドを
構築するという動きがありました。

今は、そうした複雑な動きはなくなりましたが、
米ドルが基軸通貨として、
その存在価値が弱められる中で、
ユーロの存在価値が高まり、
米ドルにとって弱い材料が
出た場合には、相対的にユーロが
上昇する仕組みとなっています。

また、欧州統合がなった結果、
日本企業が欧州に進出動きが加速しています。

特に、欧州が域内に生産拠点を
設けない場合には、関税が高くなる一方、
域内に生産拠点があれば、
欧州域内は関税がなくなることもあり、
日本企業としては有利な条件を持つためにも、
欧州域内に生産拠点を置く動きが強まっています。

そうなると、3月末にはわが国輸出企業の
利益送金の円買いが強まり、
4月には機関投資家のユーロ買いが
強まるなど、米ドルと同様な動きが出ています。

その意味では、ユーロ・円も
ある程度は予想がつく
通貨ペアということが出来ると思います。

ただ、忘れてはならないのは、
欧州の情報は、米国の情報に
比べて圧倒的に少ないということです。

外国為替取引は、
情報が絶対であることを考えると、
日本人にとっては
ユーロ・円取引はまだまだ
メジャーな取引ではないということを
考えながら行うのが無難だと思います。

(この項、2009年1月執筆)



通貨ペアの妙、安心感あるドル・円

【2009年7月24日】

外国為替通貨取引は、
ドル・円、ユーロ・ドル、
英ポンド・ドル、豪ドル・米ドル
などの対ドルでの取引と、
ユーロ・円、英ポンド・円、
豪ドル・円など、いわゆる
クロス通貨取引があります。

もちろん、
日本の円を中心に考えているので、
上記のような表記になるのです。

日本人にとって、
最も扱いやすい通貨は、
ドル・円になります。

取引額が一番多い通貨であり、
変動要因も日米の材料を
見極めていれば、ドル売りなのか、
円売りなのか把握することが
難しくないからです。

さらに、日本の対米輸出の
大きさを考えた場合、ドル・円の動きは
3月に輸出業者が利益送金の
ドル売りを持ち込む場面でドル売りに
傾斜すれば良いことになります。

輸出業者の動きを考えた場合、
5月の大型連休は休日が多いことで、
早めにドル売りを進める動きがあるため、
この流れに乗れば収益確保に結びつくわけです。

逆に、4月にはわが国からの対米投資に
絡むドル買いが持ち込まれることで、
この時にドル買いを行えば、
大きな流れに乗れるというわけです。

機関投資家のドル買いは、
4月にその年度の投資方針を決めるので、
本格化するのは5月の連休明け
となることになります。

もちろん、前述したように、
輸出業者は5月の連休前に、
ドル売りを持ち込むため、
5月の連休を挟んで、
ドル・円相場が大きく振れるのは
こうした要因があるからです。

また、夏場、8月早々には、
輸出業者が夏季休暇に入ることで、
その前に、ドル売りを手当て
することがあります。

お盆休み近くには、
輸出業者の取引は
極端に薄れることもあり、
8月のお盆休み明けになって、
ドルが売られていると、
輸出業者が急いで
ドル売りを持ち込むことで、
ドルが急落する動きになるのです。

その後は、
9月中間決算末・決算明けを
意識した機関投資家の動きがあり、
決算末では、ドル売り・円買い、
ユーロ売り・円買いが持ち込まれます。

決算明けになると、
分散投資意欲を強めた機関投資家が、
ドルやユーロに投資するために、
円売りが強まります。

さらに、年末にかけては
欧米機関投資家や事業会社が
決算末を意識して、本国に資金を
持ち帰ることで、円を売って、
ドルやユーロを買う動きが強まり、
薄商いの中で、円売りが
強まる動きが見られるわけです。

このように、
大きな材料が出ない限りは、
年間を通して、為替相場は
ほぼ同じような動きとなるのですが、
昨年のように金融危機、
景気後退が鮮明になると、
思いもよらぬ急変となるわけです。

しかし、日本人にとって、
ドル・円取引は情報も
材料も豊富にある分、
動きはともかくとして、
分かりやすいものである
ということができると思います。

その分、ドル円取引の妙味は、
多額の資金を投入できない
個人投資家にとって少ないと考えます。

ただ、多額の投資を出来る
個人投資家にとっては、
情報や材料が豊富にある分、
変動が少なくても収益を
上げる機会が増えるわけです。

(この項、2009年1月執筆)



オバマ期待、米経済悪化を救うか

【2009年7月16日】

米国では、
オバマ新政権誕生で、
新しいことが始まる
との声が強まっています。

ブッシュ政権誕生の際には、
米国がどの方向に行くのか、
懐疑的な見方が出ていましたが、
未曾有の経済危機の最中で、
オバマ新政権に対する
期待が強まっているわけです。

ブッシュ後の共和党候補が、
大統領選挙に破れた大きな原因は、
ブッシュ政権の経済政策の失敗、
そういわれているだけに、
オバマ氏に対する期待が
強まっているといえます。

大統領選挙最中から、
オバマ氏は経済政策に
重きを置いてきただけに、
その手腕に対する期待が
高まっているというわけです。

問題は、
米自動車会社救済を
オバマ氏が意図している
ことだと思います。

オバマ氏の選挙支援団体の中には、
自動車労組がいて、
大統領当選に大きな支援を
行ったというわけです。

自動車会社救済には、
国民の間から、
その正当性を
疑問視する声が出ています。

何故、自動車会社を
救わなければならないのか。

当初、
米政府との間で支援策が
まとまらなかったのは、
経営者が社有ジェット機で
ワシントン入り
したことがあげられました。

それと同時に、
労働者の高賃金が指摘されました。

労組はこの点について、
強硬に異議を唱えています。

しかし、考えてみたら、
自動車会社の経営の建て直しには、
ただ政府に支援を求める
今の方法で良いのか
という疑問も浮かびます。

経営再建の中には当然、
給与の見直しが
必要ではないかと思うのです。

米自動車会社は、
苦境を伝えられて、
久しい時間が経っていました。

今回の危機では、
日本のように真っ先に
リストラするのも考えものですが、
給与体系の見直しが、
政府支援の大きな材料になる
ことも必要ではないかと考えます。

オバマ新政権は、
労組に引導を渡せることが出来るのか、
それが出来れば、
オバマ流の新経済政策が
機能することになるかもしれません。

(この項、2008年12月執筆)



米国バブルの清算、まだ時間が必要

【2009年7月10日】

米金融危機をきっかけに、
世界同時不況の大波が襲いました。

新興国の中には、
米国を始めとする先進国の
罪悪を指摘する声が聞かれるなど、
米国を中心とした金融市場主義が
世界経済減速の大きな要因になった
との指摘も聞かれています。

絶好調ではなかったものの、
米国や新興国の堅調な経済を支えに
伸びてきた日本経済も直撃、
世界のトヨタも売り上げの
大幅な下方修正を迫られています。

トヨタでさえ、
大きな影響を受けているわけで、
新興国にとっては
まさにとてつもない
危機の中にあるわけです。

旧東欧では、
国が破綻の危機に
陥っているところがあり、
まさに、今回の危機は
ワールドワイドな
危機であったという感じです。

その根源となった米国は今、
ビッグスリーの危機が
目先遠のいたとの見方から、
やや安心感が広がっていると見られます。

もちろん、
根源的な危機が
何一つ解決していない
ということは誰もが わかっているのでしょうが、
それでも政府支援で助けられるという
安堵感があると考えます。

最近では、ビッグスリーだけではなく、
カード会社も政府の支援を
受けることになりました。

現金社会から、
カード社会に転じた米国では、
現金よりもカードの方が
認知されているということがありましたが、
まさに米国を代表するカード会社も
今回の金融危機・経済危機の中では
苦境に立っているわけです。

こうしてみると、
米国では伝統的な産業も、
新しい産業も、
危機に瀕しているわけです。

失業率はさらに悪化し、
新規雇用もさらに減少する
可能性が強い中で、
ビッグスリーの危機が一先ず遠のいた、
それだけで米株価や
ドルが堅調な動きを示していますが、
どうしてそうなのか、
理屈では分かりにくい動きが続いています。

ただ、わかるのは、
株価が回復、
ドルも底堅い動きにならないと、
本当に米国が沈没してしまうということです。

株価が急落すれば、
米国から資金が逃げ、
ドルが下落すれば、
さらに米国が資金が逃げる
という動きがいつまでも続くと考えられます。

その歯止めとなっているのが、
今の株価堅調、
ドルの底堅い動きと
なっていると思うのです。

金融危機・経済危機に
蝕まれる企業、
産業はますます拡大しそうです。

カードが錬金術のように使える
米国経済の不自然さに、
ようやく危機感が広がっていることで、
この問題の決着がつけば、
米国流市場主義が終焉する
ということになるのかもしれません。

米国流市場主義の清算が、
まだ終わらない状況では、
危機は何度も起こるのでは
ないかと思います。

それには、まだまだ
時間がかかると考えます。

(この項、2008年12月執筆)



量的緩和、みんなですれば怖くない

【2009年7月3日】

米国に続き、わが国も
量的緩和の世界に踏み込みました。

  米FRBが、
一段の景気の悪化を防ぐために、
実質ゼロ金利とする
大幅な利下げを行う一方、
CP買い取りなど、
量的緩和にも踏み込みました。

それで、米経済が回復するかどうか、
少なくともあと半年程度は、
その効果があるのか否か、
わからないと考えています。

しかし、FRBとしては、
今の状況で何もしないままでいたら、
米国発の世界恐慌が一段と
深刻なものになる可能性があることで、
何もしないというわけには
いかないと考えたと思っています。

米国株式相場は、
当初こそ、
このFRBの英断に反応しましたが、
米自動車会社の救済案が
まだまとまっていないことなど、
不安心理はまだ払拭されていません。

こうした米国の姿勢に追随する格好で、
日銀も政策金利を0.10%に下げ、
CP買い取りなど
量的緩和に踏み切る姿勢を見せました。

この秋の主要中銀利下げには
追随しませんでしたが、
さすがにトヨタを始め、
わが国企業の経営が
一段と悪化したことを受け、
米国に追随する格好で
果敢にも利下げに踏み切りました。

日本の景気が
どうしてこんなに悪化したのか、
分からないのですが、
企業の社会的責任を放棄して、
人を切り、
国民の間に不安感を抱かせたのでした。

企業経営者の資質の問題もあるのでしょうが、
派遣や期間労働者を都合が悪くなれば、
あっさり首を切られるという、
悪い風潮が流行っていることで、
日銀としても何らかの手を
打たないといけないと考えたのでしょうか?

もともと日本の企業風土は、
簡単には人を切れない
というものでしたが、
オーナー社主がいなくなるとともに、
サラリーマン社長が誕生したことで、
安易に首を切る動きが強まっているわけです。

そうはいっても、
企業としては生き残らなければ、
何ともならないわけです。

座席を詰めあうような社会は、
過去のもので、
今は、
誰もが座った椅子から離れまいとして、
自分の場所を守ることで
一生懸命になっている中で、
弱者は一段と弱くならざるを得ない状況です。

この中、日銀が出来ることは、
これ以上の企業の経営破綻を
増やすわけにはいかず、
そのためにも金融政策で
出来ることは何でもする、
企業の資金繰りを
容易にさせるためには
何でもするという
舵を切ったというわけです。

この動きには、
今度は英国も加わる可能性が強く、
世界の主要中銀が、
量的緩和に踏み切る可能性があります。

この中、
ECBは早くも
一段の利下げの可能性を否定しています。

利下げをしないとは言いませんが、
早くも牽制球を投げています。

将来のインフレ懸念を
指摘する声も出るなど、
結果として、
ECBの利下げは
無いとの見方も出ています。

当然、
量的緩和もない、
そういう状況になる
可能性もあるわけです。
しかし、
ECBの利下げはタイミング、
幅ともに、十分だとは思えません。

利下げ、量的緩和で
どこまで景気の下支えになるか、
確信は持てませんが、
景気は「気」からという
観点から考えると、
今できることは何でもする
という姿勢が必要だと考えます。

主要中銀が、
利下げ、量的緩和に踏み切れば、
景気回復に向けて世界の歩調は一つ、
そういう確信が広まれば、
景気は意外に底堅いことに
なるかもしれません。

(この項、2008年12月執筆)



米自動車会社救済法案廃案の原因は、労働者賃金の引き下げ拒否

【2009年6月26日】

注目されていた米自動車会社救済法案が、
米上院で頓挫(否決)しました。

この結果、
米ビッグスリーに対するつなぎ融資
140億ドルは宙に浮き、
早くとも来年にならないと
進展が予想されないことで、
米経済にとって
より深刻な状況になる
可能性が出てきました。

ブッシュ大統領も、
救済が自動車会社の再建に
役立たないようなことになるならば、
意味がないとする発言をするなど、
政府としては万全の構えを行うものの、
自動車会社の責任が重いことを強調しています。

特に、最初の政府・議会との話し合いでは、
ビッグスリー首脳が自家用ジェット機で
ワシントン入りしたことに対する批判が強く、
その結果、
当初の話し合いは
実のないものに終わった経緯がありました。

今回は、
ビッグスリー首脳は自動車で
10時間もかけてワシントン入りするなど、
政府・議会の怨嗟の声を収めるべく
努力をしたわけなのですが、
結果として、
民主党主導の下院は可決しましたが、
上院は協議が不調に終わり廃案となりました。

その大きな要因は、
「労働者に対して海外自動車メーカーと
同水準への賃金引き下げを求める
時期に関する問題だった」
と指摘する議員の声が出ています。

米自動車会社、ビッグスリーの従業員は、
国内と比較しても時給はかなり高く、
海外と比較するとその時給の高さは
群を抜いているとされています。

米国の屋台骨を支える産業として、
その程度の時給は
当然との見方もあるのでしょうが、
さすがに、
ここまで経営が行き詰る中で、
時給の高さは異常とも言えるでしょう。

米ビッグスリーの経営問題は、
今に始まったことではなく、
既に何十年も前から、
その危機がありました。

米国流の合併などで、
何とか凌いできましたが、
世界がエコカーの開発に邁進する中で、
米ビッグスリーは
ガソリン消費型の大型車を志向、
さらに以前から言われているのですが、
輸出が増えないのは
不公平な規制があるからと、
米政府とともに、
自動車輸出の壁を突き破ろうとしていましたが、
結局、米車の輸出は、
わが国を見てもなかなか伸びていません。

ドイツやフランス、イタリアなどは、
小型車をわが国に供給して、
高級感のある自動車の輸出に
ある程度は成功しているように見えますが、
大型車中心の米国車が
日本で増えなかったのは、
企業の努力が足りなかった
ということになるのではないでしょうか。

このように、米ビッグスリーは、
経営努力が足りないことを
政治力を使って補おうとしているようですが、
今回はさすがに、
米国でも「大き過ぎて潰せない」
という範疇には入らなかった模様です。

まず、
労働者の時給をどこまで
引き下げられるのか、
それが問題だと思います。

ところが、
米自動車労働者は、
オバマ次期大統領の強力な支持基盤でした。

オバマ次期大統領は、
当然のようにビッグスリー救済に懸命です。

支持基盤のために働く大統領
という印象ですが、
どう考えても、
ビッグスリーの労働者は恵まれすぎている
といわれている中で、
賃金引き下げなくて、
ビッグスリー救済はありえないという
世論が醸成されつつある中で、
強行突破をすれば、
麻生首相と同じような道を
歩む可能性もあるのではないかと考えます。

日本では官僚、
米国では自動車労組、
いつまでぬるま湯に浸っているのか、
見ものです。

(この項、2008年12月執筆)



景気は“気”から・・・

【2009年6月20日】

世界の景気が大きく揺らいでいます。

サブプライムローン問題に端を発した
「金融危機」が、世界の金融市場に大波を起こし、
世界の経済の後退を招いています。

当初は、米国、欧州を中心に
経済の減速が確認されました。

その後、新興市場国経済の悪化が確認され、
最後に?日本の深刻な景気後退が
確認されています。

当初、日本は、
サブプライムローン問題は
縁遠いとの見方が出ており、
金融機関も機関投資家も、
仕組み債の購入額は少ないと
していましたが、出てくる出てくる。

サブプライムローンに絡む
商品を購入して、
損害を被った金融機関、
機関投資家が日本にも多くいて、
結局、購入した額の小ささで、
欧米のような悲惨な状況には
陥らなかったというわけです。

アイスランドのように、
国を挙げて、
サブプライムローン絡みの商品を購入し、
金融立国を目指していなかった分、
日本の傷跡は少なかったということなのでしょう。

しかし、蓋を開けてみると、
海外物には手を出していないと
見られていた金融機関が、
懲りずに手を出して、
火傷をした例も出ています。

さらに、当初は景気後退についても、
わが国は大丈夫、
なんて言っていたにもかかわらず、
米国の景気後退が重症となってくると、
トヨタが大幅な減益予想を発表するなど、
日本の誇るトヨタも、
米国の景気後退という荒波を
受けることになってしまいました。

その波は、
トヨタ以外のわが国の企業経営にも
大きな影響を与え、気がついたら、
いつの間にかわが国経済は
深刻な事態に陥っているというわけです。

悲観的な見方が特異な日本人が
当初は、日本経済は大丈夫と言っていたのに、
米国、欧州、新興市場国の経済の悪化を見て、
途端に、「注文がなくなった」(中小企業)状態で、
先行きが見通せないとの超弱気の声が
出始めているわけです。

米国の金融危機、経済危機の時には、
そんなことちっとも話していなかったのに、
その荒波が一気に日本に押し寄せたというわけです。

そうなると、
超弱気な日本人としては、
日本経済に「明日はない」的なところまで、
悲観論が台頭しているわけです。

自動車会社を中心にした、
中小経営者が1カ月後には仕事がない、
何てテレビに出て話すものだから、
日本中にそう悲観論が台頭しています。

この中で、
儲かって、儲かって笑いが止まらない
企業もあるのでしょうが、
そんな時は何も言わないのが賢者の知恵とばかり、
総悲観に頷く脳しかない企業経営者もいるわけです。

また、個人にしても
日本で開店しているブランド有名店には、
年端もいかない女性が列をなし、
思わぬ円高・ユーロ安で、
ブランド品の価格が値下げされる
というありがたい話も出て、
ブランドショップには
人の列ができているようです。

これから景気は悪化して、
年を超えることができないという声が、
中小・零細企業経営者から聞かれる中で、
何ともおかしな風景が
今の日本では見ることができるのです。

景気は“気”から、
まさに
中小・零細企業経営者の話を聞いていると、
明日にでも自殺したくなるような雰囲気がですが、
ブランドショップに並んでいる人たちを見ていると、
一点豪華主義でまだ生きられる
なんて思ってみたりして、何とも不思議な国です。
(この項、2008年12月執筆)



テロの恐怖が、また甦る

【2009年6月13日】

インドでのテロは140人を
上回る死者を出しました。

インドはハイテク産業を中心に、
新興国として、
今後の成長が期待される地域として、
欧米はもちろん、
日本からも熱い視線を浴びている国です。

これまで、
国内的には不安定な動きも見られましたが、
今回のように同時多発テロが
起こるような環境にはなく、
こうした安定さも欧米日の投資を
誘う環境となっていました。

ハイテク産業には欠くことのできない、
インド人の頭脳が求められていたわけで、
まさに欧米日の要望と上手く合致して、
これからの成長が期待される国でもあったわけです。

まだ、どのような組織が
インドでテロを行ったのか不明ですが、
一部報道ではパキスタンに拠点を置く、
アルカイーダに近い組織が
起こしたのではないかとの見方が強まっています。

また、武装集団が攻撃を始めた時には、
米国人や英国人を探していたと言われるなど、
標的は米英人であったとも言えそうです。

今回名前が挙がっている組織は、
ロンドンでのテロの時にも名前が挙がった組織で、
イスラムを名乗る組織のテロが
インドで行われたと信じる理由があるようです。

一部では、インドに欧米日の資本が集まり、
豊かになっていくことに対し、
それが真に豊かなことなのかという
懐疑的な見方も出ているとされ、
欧米文明に、欧米の市場主義に
染まっていくインドの行く末を
危惧する集団の行動との指摘も聞かれています。

イスラムが起こしたといわれるテロは、
ロンドン、ニューヨークで行われたように
欧米で行動が起こされることが多かったのに、
今回は新興国のインドで起こされたことで、
イスラムのテロは世界中、
どこでも起こされることになったと
見た方が良さそうです。

もちろん、
中国や日本もその対象から
外れていないともみられ、
どこに行っても安全な場所はなくなった
ということになるのかも知れません。

この時期、
米国ではニューヨークの地下鉄が
テロの対象になっているとの情報が流れています。

ニューヨークにある日本総領事館が、
地下鉄テロの可能性で注意喚起を
行ったとの報道も流れています。

ブッシュから、オバマに政権が代わる間際に、
またテロの恐怖が甦るわけです。

インドでのテロが、
その前振れになったということが
ないように出来ればと思います。

(この項、2008年12月執筆)



米国の象徴が懸念材料に

【2009年6月6日】

米国の懸念は、
いよいよ米国の象徴の崩壊に
表れているようです。

これまでは、金融危機、
全体的な景気減速の懸念が
大きかったのですが、米国を象徴する自動車会社、
そして金融を象徴するビッグカンパニーに
経営危機の波が押し寄せてきます。

米国では自動車産業は、
米国を象徴するものでした。

世界の自動車産業の中心にいる
自動車会社は、まさに米国そのもので、
米国=自動車産業という図式が
成り立っていました。

しかし、自動車産業も平坦な道を
歩いていたばかりではありません。

過去には、自動車会社の危機があり、
それを再建した剛腕経営者が賞賛を浴びたり、
米国とは切っても切り離せない存在だけに、
自動車会社を安易に潰すようなことは米国政府、
議会がしないとの見方まで出ていました。

今、米国はビッグスリーと言われている、
GM、フォード、クライスラーが
危機を迎えています。

自動車会社は、日本でもそうですが、
裾野の広い産業だけに、
万一、潰れるようなことがあれば、
その波及効果は大きなものがあります。

自動車会社本体はもちろん、
鉄鋼、ガラス、音響、
プラスチック成形、自動車保険会社等々、
様々な産業に影響を与えます。

当初、クライスラーをどこが救済するのか
という問題が浮上していましたが、
足元では3社ともに救済しないと、
この危機は乗り切れないという
状況になっています。

ビッグスリーは、
議会、政府に救済を申し出て、
議会・政府も救済を行わないと
大変な事態が起こるとして、
自動車産業の救済には
前向きな姿勢を示していました。

雇用が損なわれることで、
米国の経済に与える影響に配慮したものです。

当初は早急な救済が行われるはずでしたが、
ワシントンでの政府・議会・ビッグスリーの会合で、
ビッグスリー側が今回の危機の原因は
金融危機によるものと主張したことや、
会議に参加するため、
ビッグスリー首脳が自家用ジェット機で
ワシントンに飛来したことなどで、
特に議会サイドの顰蹙をかいました。

もともと、自動車業界の経営不振は、
金融危機以前からあったことで、
相変わらず燃費効率の悪い車を
生産し続けていた経営判断の失敗が、
米国産の自動車売上を
後退させたことは明らかで、
責任転嫁する姿勢、
さらには
救済後の方針が明確に示されないなど、
自動車業界の責任感のなさに
匙を投げられたという感じです。

議論は、結局先に延ばされ、
自動車会社側がどのような回答を
持ってくるかが、救済の大きな材料に
なることになってしまいました。

ただ、政府としても
このまま何もしないわけにはいかないわけで、
自動車会社救済は
米国経済の一段の悪化を食い止める措置として、
何らかの手段を用意していると考えます。

それにしても、
米国の象徴であった自動車会社の衰退は、
政治の世界でも米国が主導していた世界が
色褪せてきたものと、
機を一にしているような感じがします。

米国流市場主義の末路が今回の金融危機で、
米ビッグスリーの衰退が強い米国の末路を
示しているようで、歴史の浅い米国にとって、
次はどんな象徴を作って
国を盛り上げようとするのでしょうか、
大いに注目したいと思います。

(この項、2008年11月執筆)



金融危機、解決策は本当はない?

【2009年5月30日】

金融危機、解決策は本当はない? 米国発の金融危機は、先進各国や新興国が
それぞれに金融危機対応を行っていることで、
今は落ち着いて見えているように見えます。

日本のように、バブルで傷んでいたおかげで、
今回の金融危機にどっぷり浸ることが
なかったことから、今回の金融危機の直撃を
受けていないところもあります。

米国が公的資金の注入を決定したことから、
金融危機は無事に解決とのムードが
市場には流れていますが、実は金融危機は
対処法が示されただけであります。

本来的な金融危機の解決策は、
ないのが実情で、
市場が米国の積極的な金融危機策を評価して、
悲観的な見方が解消した時が、
解決したと言えるのではないでしょうか。

もちろん、米国が多額のお金を注ぎ込んで、
不良資産を処理しないと、
市場は納得は出来ないのですが、
実は、そんなことはいつまでも
続けられるものではありません。

本当のことを言うと、
米国をもってしても、
今回の金融危機の解決策は見当たらない、
そう言えるのではないでしょうか。

金融危機だけに収まっていればよかったのに、
今や米国の金融危機は、
経済の深刻な停滞を誘い、
これまでクレジット社会を
凌駕していた米国社会は、
中流でもクレジット地獄に
はまっている状況だと言われています。

サブプライムローン問題は、
賃金が右上がりで続くと見た人が、
返済不能な住宅ローンを組んだ結果、
大変な問題になったのですが、
今や、米国の金融機関のリスク許容度が
大幅に減退していることから、
所得のある人、中流の人たちの
ローン限度額も絞られる始末です。

本来、返済は十分にできる中流の人たちが、
サブプライムローン問題の発生で、
ある意味、不当にローン限度額を絞られ、
その結果、ローン破綻を起こし、
これが金融機関の経営を
悪化させるという構造に陥っています。

サブプライムローンが不良債権の拡大で、
世界の金融機関が痛手を負ったわけですが、
今度は中流の人たちのカード破たんで、
これを組み込んだ債券が
痛む結果になりかねないわけです。

これを救える資金がいつまでもあるとは考えにくく、
さらにサブプライムローンも経済が悪化する中で、
職を失う低所得者が増えるなど、
住宅価格が下落傾向にあることを考えると、
まだまだ悪化する傾向にあると思います。

政府の迅速な対応でも、
救えるものと、救えないものがあり、
今回の金融危機は、
どこかで徳政令を行わない限り、
解決はできないのではないかと思います。

その時に、
大き過ぎて潰せないと、大だけ救い、
個人は見放すという
かつての日本のような選択をした場合には、
何時まで経っても経済は浮揚しないと思います。

それは、日本がバブル破裂で学習してきたことです。

米国が荒治療をすることができるのか否か、
それが金融危機解決の唯一残された方策だと思います。

(この項、2008年11月執筆)



米大統領選挙、民主=円高、共和=円安?

【2009年5月25日】

米大統領選挙の結果、為替相場は、
民主党候補が当選するとドル安・円高に、
逆に共和党候補が当選するとドル高・円安に
動く傾向がありました。

過去には、民主党候補の優勢が伝えられると、
先取りしたドル売り・円買いが出ていたものです。

これは、民主党が
対日貿易圧力を強めていたことと密接な関係があり、
為替を日米の貿易戦争の手段として
使っていたことは明白な事実です。

特に、日本の政界と、
民主党を繋ぐ層が薄いことも、
対日圧力をかけやすい要因と
なったものと見られています。

一方、共和党は、日本の政界と厚い繋がりがあります。

いわゆる知日派が多いことも、
日本にとっては、
居心地の良い関係を続けることが出来たわけです。

ロン・ヤス関係(レーガン大統領、中曽根首相)、
ジョージ・ジュンイチロウ関係(ブッシュ大統領、小泉首相)は、
過去の日米関係でみると、
これほど密接な関係はなかったように思えます。

これに対し、過去の民主党大統領は、
クリントン大統領の時には、
日本パッシングということがありました。

中国で開催された国際会議に
クリントン大統領は出席しましたが、
その前にも後にも、日本に立ち寄ることなく、
米国に帰国しました。

日本に寄る価値もない、
その時にはそう受け止められました。

さらに、北朝鮮問題でも、
日本を置き去りにして、
北朝鮮との国交回復を図る動きも見られたわけです。

カーター大統領の時代も日米関係は疎遠でした。

逆に、そうした疎遠な時代をレーガン大統領や、
ブッシュ・シニア大統領、ブッシュ・ジュニア大統領が
隙間を埋める形で、日米蜜月時代を構築したわけです。

ただ、ブッシュ・シニア時代は、
日本が宮沢首相で、
唯一、民主党との強い繋がりがあった分、
ブッシュ・シニアと宮沢首相の関係は
良好とは言えないものでした。

相場の世界では、
保護主義的な色合いの強い民主党政権に対する
警戒感がドル安・円高という形に振れる要因と
なっているわけですが、オバマ氏も
旧来の民主党の路線を踏襲して、
対日圧力をかけるのか否か、
今後の動きが注目されます。

(この項、2008年11月執筆)



株価だけが判断指数に

【2009年5月15日】

今は、
すっかり株価が物事の判断をする
指数になっているような感じです。

単純に言うと、
株価が上がれば円が売られ、
株価が下がれば円が買われる、
何とも単純な動きです。

確かに、
株価が下落することで、
経済活動にとっては大きなマイナスと
なっていることは間違いなく、
株価が下がれば、
金融機関の自己資本比率が低下して、
資本増強をやむなくされるわけです。

しかし、暢気なものです。

株価だけを見て、
円を売ったり、買ったり、
逆に高金利通貨を買ったり、
売ったりすればよいのですから、
株価をしっかりウォッチすれば、
間違いなく儲けられるということです?

もちろん、
その判断を間違えたら、
とんでもない損を抱え込むのですから、
一概に簡単なこととは言えないのですが、
それにしても、
株価が判断指数とは情けないことです。

はっきり言って、
日本の株価は売られ過ぎです。

米株が下がるから、
円高だからと言って、
株価は売られていたわけですが、
実体経済を本当に映しているのか、
企業収益を映しているのか、
全く反映しているものではないと考えます。

とはいっても、
この株価の動きを慎重に見極めて、
経済指標は無視して、
円を売ったり、買ったりすれば、
とんでもない収益が上がったかも知れません。

今しばらくは、
株価の動きが為替相場に与える
影響が大きいと思われますので、
株価の上下を武器に為替相場に
参加するのが面白いかも知れません。

ただ、
1ドル=100円を付けるには、
株価の上昇だけでは難しいと考えます。

逆に、
日本株が上昇すれば、
投資資金は日本に集まってくる
可能性があります。

そうなると、
株高・円高が成立することになります。

そんなこと、
過去にもあったような気がします。

お金の行き場に困った海外勢を中心に、
日本株が上昇、円も上昇、
遅れて日本の機関投資家が
株式投資を始めると、海外勢は上手に利食って、
日本勢があわてて売りに転じると、
下値を買い上げる、
そんな上手な投資を過去に
何度も見たような気がします。

相場って、奥が深いですよね。

(この項、2008年10月執筆)



どんな秩序が出てくるのか

【2009年5月8日】

米国発の金融危機をきっかけに、
11月にはG8プラス新興国が米国に集まって、
金融サミットが開催される見込みです。

今回の金融危機を受けて、
新しい金融秩序の話し合いの
スタートになるものと見込まれています。

今の金融秩序は、
戦後のブレトンウッズ体制が
根幹となっています。

IMFや世界銀行などを介して、
金融の秩序を行ってきましたが、
今や、こうした体制だけでは
金融秩序は保てないというわけです。

もちろん、当時と違って、
オプション、スワップ等の
派生商品取引が凌駕する中で、
サブプライムローン問題のように、
劣後する債権を仕組み債に組み込んでも
「AAA」の格付けを与えた格付け会社や、
それを組み込んだ証券会社のあくどいやり方が、
何のチェックもされずに
罷り通っていたことが問題だと考えます。

本当は金融秩序などということを
言う人の品性を疑っているのです。

確かに、
どんな社会にも秩序は必要だと考えます。

しかし、金融秩序は、
現時点の強国が、今なら米国が、
自国に有利なような枠組みで
金融秩序を作ろうとしているのでは
ないかと疑っています。

ブレトンウッズ体制も同様でした。

第2次世界大戦で勝者となった、
米国を中心に国際金融の
枠組みが出来たわけですし、
今回も米国主導で国際金融の枠組みを
再構築しようとしている、
そう思っています。

ブレトンウッズ体制を見直すということも
大事だと思いますが、それと同時に、
複雑化し過ぎた金融取引を、
もっとわかりやすくすることが
大事なのではないでしょうか?

金融市場関係者に言わせれば、
これだけ複雑に絡み合った取引を
解すのは無理だという声が
聞かれていますが、
絡んだ糸を解すように
一本、一本、解す努力を
金融関係者が行うことが
大事なのではないでしょうか?

それと併せて、
国際金融の仕組みを決めていく、
主要国だけでなく、新興国の話も聞きながら、
「ゼロサムゲーム化」している、
金融の世界をもっとクリアにする
努力が必要なのではないかと考えます。

金融で金儲けをするという発想を捨てないと、
これは出来ないと思います。

金融は間違いなく、
必要なお金を間違いなく
届けることに専念すれば、
良いのではないでしょうか?

そうしないと、いつまでも、
金融取引で失敗した大手金融機関のつけを
税金で支払うことになりかねません。

そうした金融の暴走に歯止めをかける
体制を作ることが、今必要なのではないでしょうか?

(この項、2008年10月執筆)



金融安定化策は入り口に過ぎない?

【2009年5月1日】

G7や欧米日各国が
金融安定化策を次々に打ち出す中で、
各国の株価は大幅な上昇を示しました。

NYダウや日経平均株価は
過去最大の上昇を記録しましたが、
その動きもわずか一日しか持ちませんでした。

東京市場は、過去最大の上げ幅を記録した後で、
小幅の上昇を記録し、反落ということは
辛うじて阻止できたのですが、
NY株価の下げが止まりません。

当初は、金融安定化策が好感され、
さらに政府が公的資金投入に前向きな
姿勢を示したことなどを背景に、
金融危機が遠のいたとの見方が、
株の押し上げ材料になったわけです。

各国政府高官も、市場の反応に対し、
今はまだ入り口に立ったばかり、
金融危機は去っていないと指摘しても、
これまで大きな懸念だった問題に、
米政府が前向きに対応していることが、
株買い安心感につながったわけです。

しかし、よくよく考えてみると、
今回投入される資金は、
米住宅価格が現時点で底を打てば、
意味のあるものとなるのですが、
今以上に住宅価格が下落した場合には、
今回決めた公的資金投入額では
足りないとの見方が台頭し始めています。

つまり、
住宅価格はまだまだ下落の途中にあるだけに、
金融安定化策はさらに積み増しを
迫られると見られているわけです。

この中、米国の実体経済は、
指標発表を見る限り、
依然として厳しい状況にあり、
実体経済の悪さを嫌気した
株売りも出始めていると見られています。

ある種、「材料出尽くし」のマジックです。

公的資金投入という、
「キーワード」があって、
これが出来るか出来ないかで、
楽観も悲観もするという動きがありました。

公的資金投入が決まる直前までは、
悲観が勝って、
株価は暴落に近い状態まで売り込まれ、
公的資金投入が決まると
爆発的な買いが持ち込まれ、
そして、
具体的な公的資金投入が示されると、
「材料出尽くし」で売られてしまうという、
流れにものの見事に乗ったわけです。

まさに、
今は金融安定化に向けた入り口にいるわけで、
今後、各国、特に米国がどのような策を
打ち出しているかを注目しています。

景気減速下、
住宅価格下落傾向が止まらない中で、
米国政府が今回の危機に
どのような対応を続けるのか、
それを見極めているというわけです。

入り口にいるということは
出口もあるわけで、
その時には金融危機が
癒される時だと考えています。

ただ、それにはまだまだ時間が
かかると考えています。

賢明な投資家は、
こんな時には、
じっと待たなければいけないと考えます。

儲けるチャンスと見るのではなく、
敢えて損をしない、
守りの姿勢に徹するという、
姿勢も大事かと考えています。

本格的に投資を再開できるのは、
来年の4月以降、
そんな思いで株式市場を見ています。

(この項、2008年10月執筆)



G7の存在感、徐々に薄れる?

【2009年4月24日】

今回の金融危機では、
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の
存在感がやや薄れる展開となっているようです。

G7開催を前に、
欧米6中銀が協調利下げを行い、
その動きに中国人民銀行(中央銀行)など
4中銀が協調し、10中銀による
協調利下げが行われました。

その結果、
株式・為替市場は落ち着きを取り戻すことはなく、
なお不安定な動きを継続する展開が続きました。

その後、週末のG7に対する期待感、
各国首脳の金融危機に対処する
力強い発言などがあって、株式・為替市場は
やや落ち着きを見せ始めました。

結果、G7は、
今回の金融危機だけに特化したものとなり、
声明でも公的資金注入を書き込むなど、
まさに金融危機対応に追われたものとなりました。

同時にあらゆることを行うとの
決意を盛り込むなど、
今回の金融危機に断乎と
立ち向かう姿勢を示しました。

ただ、金融機関に対する資本増強策、
資金の流動性の確保、預金保護などの
制度の拡大などについては、
各国での対応が焦点となりました。

具体的に、それぞれの国がどのような
方策を採るのかが問題となっているわけです。

その意味で、今回のG7は、
各国協調の姿勢はもちろん、
個別にどのように対応するかが
市場に問われることになったわけです。

事前の報道では、
G7だけでは解決できないとして
G20を含めた拡大G7を
提案する話が出るなど、
金融危機は世界的な広がりがある分、
G7だけでは対応できない
との指摘も聞かれました。

その意味でいうと、
今回のG7が金融危機対応一色になったことは、
現在のG7では広がりのある金融危機問題、
あるいは世界恐慌などに対しては、
G7では太刀打ちできないことを
示したものとも受け取れます。

新興市場国が大きなインパクトを
持ち始めた現状において、
G7の存在意義がますます
薄れてしまう結果になったことで、
今後、G7を中心に、
新興市場国を含めた連携を
どのようにとっていくのかが
問われたG7だと考えます。

仮に、G7各国で、
今回の取り決めを守ったとしても、
新興市場国で金融危機が収束しない限りは、
G7も含めた金融危機解決には至らないわけで、
G7を発展的に解消して、
G20などの組織の広がりが
意識される可能性になることも想定されます。

(この項、2008年10月執筆)



米国の民主主義は健全?

【2009年4月17日】

今回の米国の一連の金融危機は、
政府が公的資金を注入することで
決着を見る可能性が強まっています。

これまで、ブッシュ政権は、
公的資金注入には難色を示していましたが、
そういう姿勢を許さないほど、
米国の金融危機は
深刻なものになってしまったわけです。

政府と議会(共和・民主党)の首脳が、
この危機を乗り越えるために
金融安定化法案で合意しましたが、
米下院は、この法案を否決しました。

日本なら、
政府と与党・野党の首脳が
合意した案件については、
衆院でも、参院でも、
本会議では可決される
ことになったと考えます。

多少の造反は出ても、
結果的に法案は可決される、
それが当然のことになると思います。

しかし、米国では、
それがものの見事に覆されたわけです。

政府と下院で合意し、あとは可決をみるだけ、
メディアも、市場もそれを信じていましたが、
蓋を開けてみたら、
大どんでん返しが
待っていたというわけです。

下院議員には国民から多くのメールが
寄せられていたそうです。

国民の税金を使って、
どうして金融機関を救済するのか?

ウォール街だけが
良い思いをしていたのに、
彼らの失敗を我々の税金で償うのか?

多くのメールが寄せられたそうです。

今秋は、下院の選挙を控えたこともあり、
多くの議員がこの声に耳を傾けざるを
得なかったとされていますが、
これが民主主義なのではないでしょうか?

議員は選挙によって選ばれます。

その選挙民から、
今回の公的資金注入はおかしい
との声が上がっているわけです。

議員の投票行動は即座に国民の目に触れます。

我が身可愛さで、
落選することを避けるために、
反対票を投じたという人がいるかも知れません。

しかし、これは議員としては
当然の行動なのではないでしょうか?

選挙民の意向をくみ取ることも大事なことです。

国民がこれだけ反対している、
金融安定化法案に賛成票を投じる方が、
どれだけ国民を軽く扱っているかということです。

金融機関以外の国民や、
企業は公的資金で救われないのに、
どうして金融機関だけが救われるのか。

国民の多くが
低い賃金に甘んじている時に、
金融機関は高給をもらっていた。

金融機関の首脳は、
とてつもないボーナスを手にし、
結局、
今回の金融危機でも私財を投げ出すような、
そんな経営者はいなかった。

それ一つとっても、
どうして国民の税金で
金融機関を救わなければならないのか、
理由がないという。

日本の場合は、
小泉・竹中詐欺師に騙されて、
公的資金が注入され、
国民だけが苦しみを感じて、
金融機関は史上最高の収益を
上げていたという事実があります。

その結果、
公的資金は早々に返却することが出来て、
またも米国流のビッグバンクを
目指す動きを見せています。

あの時、
公的資金を投入したのは
間違いだったのではないかとも
思わせる金融機関の行動です。

それと同じ問題で、
米国民は議員にノーを突きつけました。

それに議員は敏感に反応しました。

どちらの議員が、
国民の声を聞いてくれるでしょうか。

もちろん、
金融安定化法案は
世界レベルの恐慌に
進まないための
最低の策ではあります。

恐慌を防ぐためにも、
何らかの行動が必要でしょう。

今のままではなく、
どうしてこういう金融商品が罷り通ったのか、
その責任はだれにあるのか、
それを避けては公的資金を
注入する理由が見つからないと思います。

金融だけが特別な存在となっている
社会の仕組みを変える必要もあるでしょう。

早晩、金融安定化法案は、
修正を重ねて米上下両院を通過し、
金融機関に公的資金を注入する
方策が見つかるでしょう。

しかし、国民の声が反映して、
今の金融安定化法案は否決されたわけです。

米国には様々な問題がありますが、
やはり民主主義では
大きくリードしている感じがします。

(この項、2008年9月執筆)



通貨「秋の陣」5

【2009年4月10日】

通貨「秋の陣」は渾沌としています。

米政府は、
金融市場の動揺を抑制するために、
様々な施策を打ち出しました。

流動性供給はもちろん、
先進中央銀行と協調して
ドル資金の供与を行うなど、
なりふり構わぬ形で、
ドル資金の安定的な供給を始めました。

また、米金融機関、
とりわけ投資銀行に対しても
厚い資金供給を行うために、
米証券首位のゴールドマン・サックスと
2位のモルガン・スタンレーが、
証券会社(投資銀行)から
銀行になることを承認しました。

リーマン・ブラザーズが
資金繰りに窮して経営破綻したことを鑑みて、
投資銀行を経営破綻させない策を
打ち出してきたわけです。

さらに、議会に対しても、
早い行動が新たな経営破綻を招かないこととして、
早期の法案整備を重ねて要請する姿勢を見せています。

米国発の金融破綻を何としても
阻止するという姿勢を明確にしたというわけです。

しかし、米株価は、
モラルを欠いた今回の救済策について、
議会の中に懐疑的な見方があるとの読みや、
必ずしも税金投入は国民の大勢ではないとの読みから、
軟調な動きに転じ、
FRBや財務省の打ち出す策の実効性について、
懐疑的な見方を強めているといった感じです。

為替相場は、
ドルがいったんは大きく買い戻されましたが、
その後の株価の下落を受けて、
ドルの上値も重くなる動きとなっており、
今後は政府が打ち出した救済策が、
議会や国民世論、
あるいは大統領選の最中であるだけに、
共和・民主両大統領候補が
どのような発言を行うのかなどを
注目する展開となっています。

誰でも、
米国発の金融危機が起きて良いとは考えていません。

世界中に金融危機が連鎖することは望んでいません。

しかし、だからと言って、
これまで自由に、
法の網すれすれで
わが世の春を謳歌してきた
投資銀行(証券会社)を
安易に救済して良いのか
という疑問は当然のことだと考えます。

嫉妬ではなく、
好調な事業を反映して、
高給をとっていた人たちがいたわけで、
事業が失敗に終ったら、
国民の税金で救済する。

そうしなければ、
世界に金融危機が連鎖するというわけです。

世界の経済が破綻しても良いのですか?

そういうわけです。

これは脅しです。

今まさに、
その脅しに乗って、
金融機関、それを監督するFRB、
財務省が公的資金の注入は
避けて通れない道と叫んでいるわけです。

何か理屈に合わない、
そう考える人たちがいることで、
市場はまだ動揺を続けているわけです。

通貨「秋の陣」はまだまだ続きます。

公的資金導入や
投資銀行が銀行に代わっても、
問題は解決したわけではありません。

不良債権を世界中にばら撒いたつけは、
世界レベルで解決しなければいけない
問題になっています。

(この項、2008年9月執筆)



通貨「秋の陣」4

【2009年4月4日】

金融市場は大荒れです。

米リーマン・ブラザーズは
公的資金導入もなく経営破綻の道を辿りました。

株価は大幅に値を下げ、
その動きは海外市場にも波及し、
ドル安・円高が急速に進み、
一時103円台に円が上昇する動きを見せました。

リーマン・ブラザーズは破綻しましたが、
次に市場の標的となると見られていた
メリルリンチはバンカメが買収を発表、
市場の大波を受けることはなくなりました。

さらに次の標的としてあがった
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が
市場の大波を受けました。
既に、株価の下落が激しく、
世界1位の生保の座から滑り落ちていましたが、
米当局に対して市場から救済か否かの刃を
突きつけられたわけです。

結果、異例のFRBが融資を決定、
事実上の政府管理下に入ることになりました。

これを受けて、株価は安心感から買いが入り、
ドルも急速に値を戻しました。

これで一安心との雰囲気が
市場に流れているのだと思います。

最も、これはまだ始まりなのかもしれません。

AIGは「大き過ぎて潰せない」。

そういう判断で、
FRBは巨額の融資に踏み切ったのでしょうが、
金融機関に公的資金を投入しないとしていた
ポールソン財務長官の言葉も虚しく響きます。

米国が国際金融危機の発信地にはならない、
そういう決意でAIGの救済を決めたものと見られます。

今回のテーマ、通貨「秋の陣」は、
ここまで市場がグチャグチャになるとは
予想していませんでした。

確かに、
米政府系住宅金融会社やリーマン問題などを、
意識して書き始めたのですが、
こうもあっさりと公的資金注入、
経営破綻という動きが
こんなに早く来るとは
予想をしていませんでした。

もうちょっと、猶予はある。

その前に、
雇用統計で示された米経済の不振が
市場に大きな材料にされると考えていました。

だから、
雇用統計は大きな指標だということを
改めて示したかったのです。

しかし、問題はもっと大きな動きになっています。

米国の神髄ともいえる
金融資本主義が脆くも崩れる直前まで
追い込まれたという印象があります。

今回の通貨「秋の陣」は、
まさに米国が試されている、
そういうことになるのかも知れません。

金融機関の救済、破綻は、当局の腹一つ、
それがわかったことで、
市場は次のターゲットを探してくる
可能性もあるわけです。

今年の通貨「秋の陣」は長く、
熱いものになりそうな予感があります。

(この項、2008年9月執筆)



通貨「秋の陣」3

【2009年3月28日】

通貨「秋の陣」は、激しく動いています。

米住宅金融会社救済が、
ついに政府管理下での救済という形に落ち着く過程で、
金融不安再燃を意識する向きがドル売りを仕掛けたり、
リーマン・ブラザーズの経営不安などが流れる中で、
ドル、株ともに軟調な動きが続いています。

また、欧州でも景気不安が頭をもたげていることで、
ユーロ売りが加速するなど、
ドル、ユーロともに不安定な動きが続いています。

通貨「秋の陣」は、
米雇用統計の発表をきっかけに
ドル不安となると予想していました。

確かに、米雇用統計は稀に見る悪化を辿り、
これだけでドル売りに拍車がかかるには十分な材料でした。

それに加えて、米政府系潤沢金融会社の経営不安問題、
リーマン・ブラザーズの経営不安など、
金融不安、信用収縮が大きな材料になり始めています。

米政府は、住宅金融会社を政府管理下に置く一方、
住宅金融会社の債券についても世界中の金融機関に、
その取扱いで要請を続けているようです。

簡単に言えば、
落ち着くまで売らないようにお願いしているようですが、
日本はおそらく、米政府の意向を汲んで、
債券売りはしないでしょうが、
他の地域では、みすみす損をすることが分かっている債券を
いつまでも保有することはないと考えます。

一応は政府管理下に入ることになりましたが、
その救済を巡り、米議会が強硬な姿勢を見せた場合には、
住宅金融会社を巡る不安定な動きは続くものと見られます。

また、リーマン・ブラザーズの再建についても、
様々なところに話を持ちかけているようですが、
なかなか救済先が見つかりません。

最新の情報では、バンカメが
その受け入れ先となるとの見方が浮上していますが、
これもまだ受け入れ先が見つかるまでは、
金融市場の不安定要因になる可能性が強いと考えます。

その中、欧州では、
景気後退が深刻なものになっているようです。

ドイツを中心に、
特別な措置を取る必要はないとの声が聞かれていますが、
全体で見れば、
今の金融政策は景気の足を引っ張るものになると思われます。

ユーロという枠組みでなければ、
南欧ではいち早く利下げを行っていた可能性もあります。

その他地域でも、利下げを行い、
景気刺激を考えていた可能性があります。

ドイツは、インフレファイターですから、
まず、インフレ阻止を旗頭にして、
インフレ撲滅に走る可能性が高いと思います。

経済回復よりもインフレ阻止、
その道筋をいつまでもたどっていると思われます。

しかし、ユーロ圏高官から、
成長率見通しが下方修正され、
インフレ阻止を念頭に置きながらも
景気悪化にどのように対応するかの声も出始めています。

市場は、そうした発言の差を見比べて、
これまで続けてきたユーロ買いを一変させ、
ユーロ売りに傾斜しているわけです。

通貨「秋の陣」は、
ドル単体で大きな動きとなることが多かったのですが、
今回はユーロも、さらには高金利通貨も
交えて大きな動きとなっています。

例年にない盛り上がりが期待されます。

それだけ、
怪我をする人も多くなるということなのですが・・・

(この項、2008年9月執筆)



通貨「秋の陣」2

【2009年3月20日】

9月第1週の金曜日に発表された
米国8月の雇用統計は、
通貨「秋の陣」の始まりを、
まさに裏付けるものとなりました。

今回発表された雇用統計は、
失業率が6.1%と、前月に比べ
0.4ポイントも上昇しました。

通常、失業率の悪化、改善は0.1ポイント、
あるいは0.2ポイント程度のずれがあるのですが、
今回は実に0.4ポイントのずれとなりました。

さらに、これまでの5%台から、
大台が6%台に移り変わるという、
まさに雇用統計は激変したわけです。

為替相場は、
実は雇用統計発表以前から、
ユーロや高金利通貨が大幅安となり、
相対的にドルが上昇していましたが、
雇用統計の発表で、
ドルが若干の調整売りを浴びましたが、
今回の数字で大掛かりな売り仕掛け
を浴びることはありませんでした。

市場が想定していた範囲は、
明らかに逸脱した、
まさにサプライズの数字となったわけですが、
その前に、これまで対ドル、対円で堅調だった
ユーロや高金利通貨が、景気の減速や
商品価格の下落などを材料に
売り仕掛けを浴びていたので、
ドルの被った被害(売り)は
極めて限られたものとなりました。

米雇用統計よりも、
明確に景気減速を認めたユーロ圏の材料に
関心が集まったということになると思われます。

しかし、今回の米雇用統計は、
米経済の先行き不透明感を
一段と強めるものとなりました。
米信用不安や米景気に対する不透明感は
強いものがありましたが、結局、
原油価格急騰などを材料にした
インフレ懸念が根強い中で、
インフレと景気悪化の挟間にあって、
明確な金融政策の方向性が窺えなかったのですが、
今回の雇用統計で、
明らかに景気配慮の政策を行わないと、
米景気はポシャル可能性が強いと思われます。

米景気を支えるために再度低金利、
ドル安政策が採られる可能性が
強まってきたと考えます。

もちろん、ドル安政策で出来ることは限られています。

しかし、中途半端な場面で
ドル安政策からの離脱を宣言したことで、
ドル安の利点を失っていることも事実です。

特に、円に対しては一段高の動きを見せるなど、
あのままドル安が継続していたら、
例えば、日本車にシェアを奪われなくて済んだかも知れません。

結局は、米自動車産業は衰退の道を辿るのかも知れませんが、
それでもそれが2、3年伸びただけかも知れません。

とりあえず、一段のドル安の可能性は乏しい状況ですが、
ユーロを中心にこの秋は大荒れの予兆があります。

米雇用統計という答えは出ました。

結果は、米経済の減速は避けられず、
そのために金融政策は緩和的、
ドルは軟調推移が処方箋になる
可能性が強いものと見られます。

どんなきっかけで、ドル売りが再燃するのか、
ユーロ売りが強まるのか、今年の通貨秋の陣は、
ドル・ユーロの二枚看板で派手なことになりそうです。
(この項、2008年9月執筆)



通貨『秋の陣』、端緒は「雇用統計」

【2009年3月13日】

いよいよ、通貨“秋の陣”が迫ってきました。

以前ですと、8月半ば過ぎの米貿易収支発表後、
ドル売りに傾斜した為替相場が、
徹底的にドル売りに傾斜する動きを強めるのが、
通貨“秋の陣”です。

米国のレーバーデー明けで、
これまでの相場が大きく変化することで、
秋の陣という言葉が持て囃されたものです。

そのきっかけとなるのが、
9月第1週の金曜日に発表される8月の米雇用統計です。

この雇用統計は、夏季休暇に入ることで、
米政府部門の雇用者が大幅な減少を見せることで、
雇用の減少が顕著になることから、
雇用の悪化を材料に米国売りが強まる
という動きを見せていたものです。

基本的には、夏季休暇で
米政府部門の雇用が減少することは分かっているのですが、
それでもその数字を見て、
市場は我を忘れてドル売りに走るというものです。

その時には、いつも米国の双子の赤字が問題視され、
9月下旬、10月上旬にワシントンで開催される
G7、IMF総会、世界銀行総会の一連の国際金融会議で、
ドル安が容認されるのではないかとの思惑が強まることがその一因です。

最近では9月決算を控えて、
米ヘッジファンドの経営状態に対する懸念が生まれ、
その結果としてドル売りが強まるという動きも出ています。

今回の秋の陣は、
これまでに発表されたアンケート調査などで、
米国の雇用にかかわる数字が
大幅に悪化していることが確認されています。

雇用に対する懸念が一段と強まっているというわけです。

こんな時に発表される数字は、
往々にして、
思ったほど景気は悪化していないと読むのですが、
それでも新規雇用のマイナス幅が拡大するようなことになれば、
それはそれとして大きな材料になる可能性が強いと考えられます。

消費者信頼感指数では数字は改善しているものもありますが、
それでも雇用関連はかつてないほどの悪化を示している
ということもあります。

失業率が悪化を示すのか、
新規雇用が悪化を示すのか、
両方ともに悪化を示すのか、
逆に雇用関連の数字の悪化ほど、
実際の雇用統計は悪化していないのか、
まだまだはっきりとはわかりませんが、
それでも、雇用統計が
最大の材料になることは間違いないと思われます。

特に、今年は米大統領選挙の年です。

民主党が政権を奪回するのか、
共和党が政権を守れるのか、
大統領選挙の行方も
為替相場には大きな影響を与えます。

民主党が勝てば、ドル安政策を押し付ける、
共和党が勝てば、緩やかなドル安政策を押し付ける。

どっちが勝っても、
米経済の回復薬として
ドル安が選択される可能性が強い中、
市場参加者にはドル安がチラつくような
感じになるのかも知れません。

通貨“秋の陣”、
雇用統計が端緒になるのか否か、
決戦の日が近づいてきました。
(この項、2008年8月執筆)



相場の世界は、「多数決」・・・

【2009年3月7日】

相場の世界は、非常に民主的です。

正解か否かは別にして、
「多数」を取った方が勝ち組になる、
きわめて単純な世界になるわけです。

相場が動くには、
例えば、ドル買いが100いても、
ドル売りが同数いれば、
相場は動かないことになります。

ドル買いが150で、
ドル売りが50なら、
ドル買いが勝ち組になるわけです。

もちろん、ドル買いやドル売りの
規模が大きくものをいう世界なのですが、
単純に考えると、
多数を取った組が勝ち組となるわけです。

例えば、米国の金利が下がると仮定します。

普通に考えると、金利が下がる、
当該通貨は売りということになり、
ドル売りが優位と見られるわけです。

しかし、この利下げが、
利下げ局面最後の利下げ、
あるいは、この一回限りの利下げと市場が見込めば、
材料出尽くしでドル買いが持ち込まれる可能性があるわけです。

市場の多数がそう読めば、
金利低下=ドル買いが正解となるわけです。

経済学の教科書には、もちろん載っていません。

前述の例は、まだ、利下げが最終局面にあるという、
可能性としてはゼロではない理由を挙げたので、
市場の判断が間違いだとは思いません。

しかし、こんな例はどうでしょう?

その国はハイパーインフレに見舞われ、
景気は最悪の状態にあると考えます。

本来、当該国通貨は売られて当たり前。

そんな通貨は持ちたくない、
そう考えるのが当然です。
しかし、市場の多数が当該国通貨を買いとしたら、
それが勝ち組になるわけです。

世間の常識や世間の尺度は通用しない世界、
それが為替市場(相場)なのです。

もちろん、
世間の常識や尺度どおりの動きをすることが多いのですが、
時には、金利差という絶対の判断を抑えて、
売り買いの動きが正当化されることがあるのが
為替市場(相場)なのです。

その意味でいうと、
為替取引(相場)では、
勝ち組に乗る、
それが必勝パターンというわけです。

勝てば官軍、
この言葉が素直に頷けるのが
為替取引(相場)なのです。

しかし、これも経済理論等々、
為替市場(相場)を取り巻く材料を
きちんと分析できたうえの話です。

いつも、勝ち馬に乗りたいなどと思っている輩には、
残念ながら、ついていけないことが多いかも知れません。

そのためにも、日々精進が必要かと考えます。
(この項2008年8月執筆)



先、先を読むのが為替市場

【2009年2月27日】

為替市場は、先、先を読むのが
習い性となっています。

ユーロとドルとの関係でみると、
ユーロはまだ利下げを行わず、
その可能性についても市場関係者が指摘しているだけで、
実際に利下げするまでにはまだ時間がかかるものともられます。

しかし、市場は、
ユーロ圏が利下げに入るかも知れないという情報によって、
早くもユーロ売りを持ち込んでいるわけです。

本来、ユーロとドルとの間には金利差があり、
この差は今後、縮小する可能性はありますが、
今は少なくともその差が縮小しているわけではありません。

従来、金利差がある通貨は、
ハイパーインフレ国を除き、
金利高通貨>金利安通貨の関係が成り立ち、
実際に金利差が縮小していく動きが見られても、
金利差という点で見ると、
まだまだ金利安通貨と金利高通貨を比較したら、
金利高通貨が優位となっているわけです。

為替市場は、こうした時に、
今、現実の金利差を読むのではなく、
将来の金利差、金利の動向を先読みして、
当該通貨が売りか、買いかを判断するわけで、
まさに、今のユーロとドルの関係が、
そうした為替市場の特徴を示していると思われます。

もちろん、まだ実現していない金利差を意識して
相場が変動しているわけなので、
何か材料一つ出れば、
大きく相場が変化することは避けられないのですが、
足元の相場を読む限り、
ユーロの金利低下が大きな拠り所となっていると考えます。

となると、今度は実際にユーロが利下げを行った場合には
どうなるのでしょうか?

ここで材料出尽くしという言葉が使われるわけです。

市場は、利下げを織り込んでいたことで、
実際に利下げが実施された場合には、
これまで利下げを目論んで売っていた
ドルを買い戻し(買っていたユーロを売り戻し)、
収益を確保する手段に出るわけです。

多くの市場参加者が、
ユーロ買い・ドル売りに傾いていただけに、
その巻き戻しが出ると、
市場は劇的な動きを起こす可能性が強いものと見られます。

これが材料出尽くし相場となるわけです。
ただ、材料を織り込んでいるといっても、
政策金利の動向は先が長いこともあり、
その間には、ユーロ高・ユーロ安、
ドル高・ドル安材料を巡って相場が乱高下することも多く、
織り込み済みといっても、
必ずしも一方向の動きが続くわけではないことには
注意する必要があると思います。

いずれにしても、
相場に参加するには柔軟な頭が必要だと考えています。
(この項2008年8月執筆)



夏場のお化け?米貿易収支

【2009年2月20日】

以前なら、米貿易収支は大きな材料になっていました。

特に、プラザ合意をやむなくさせた
米国の双子の赤字が持て囃された時には、
米貿易収支は為替市場にとっては
大きな大きな材料になっていたものです。

8月15日前後に発表される米貿易収支は、
日本がお盆休みで市場参加者が少ない時に発表されることで、
そのインパクトは大きかったものです。

日本勢はドル安、つまり円高が輸出業者にとっては困ることで、
円高に進むと、輸出業者の円買い・ドル売りが持ち込まれて、
一気に円の水準を押し上げる要因になりました。

市場参加者が少ない、8月に発表される米貿易収支は、
その後の通貨「秋の陣」に直結する先駆けとして、
注意深く見られていました。

とにかく、プラザ合意に至った要因は
米国の双子の赤字、
経常・貿易赤字を為替操作で、
米国にとってあまり痛みを感じない形で、
少なくするというものでした。

その後、ドル安が米国にとって悪材料となるには、
時間がかかったわけで、ドル安という、
その場しのぎの療法が米国にとっては
心地良いものになっていくものとなりました。

故に、8月に発表される米貿易収支で赤字幅が増加すると、
ドルは急激に値を下げて、その後、
9月第一週に発表される雇用統計が悪化したら、
そのままドル売りが続き、
通貨「秋の陣」の端緒となるわけです。

最近では、貿易赤字の拡大も、
材料にはされにくくなっていましたが、
当時は、巨額の赤字に身動きが取れなくなったことから、
赤字拡大=ドル売りの発想が根強かったように考えます。

さて、今回も貿易収支の発表が強く意識されます。

その中身が悪いものとなる予想が多いだけに、
ドル売りの素地はできているという感じなのですが、
今はドル売りは旬ではありません。

むしろ、金利差が拡大し続けていた
ユーロとの金利差が縮まるかも知れないという状況を考えて、
ドル売りよりもユーロ売りという発想が強まっているようです。

そうは言っても、夏場の米貿易赤字、
通貨「秋の陣」を見通す動きになっても、
不思議ではない可能性もゼロではないように感じます。
(この項2008年8月執筆)



それにしても政局では相場に影響はありません

【2009年2月15日】

福田首相は、ようやく、自前の内閣を整備しました。

内閣改造時期は何時なのか、
かなり自民党内では論議を呼んだようですが、
電光石火?あっさり内閣改造を終えました。

相変わらずの順送り、
派閥均衡?内閣とも言えなくもありません。

目玉は、内閣では野田聖子衆院議員が消費者行政推進担当相に、
中山恭子参議院議員が少子化・拉致問題担当相に、
与謝野馨前官房長官が経済財政相に就任した程度はないでしょうか?

また、党役員人事では麻生太郎前幹事長が、
幹事長に就任したことでしょうか?

内閣改造の話は、金曜日朝から報道が流れ、
麻生幹事長の就任などが確実視されていましたが、
それにしても市場の動きは鈍いものでした。

この手の話は、株価に大きな影響を与えるのですが、
株式市場は極めて冷静にこの報を受け取りました。

この場合、冷静にというのは、
歓迎度合いが少ないことを示します。

内閣改造そのものについても、
良い意味のサプライズではなく、
無視されたとは思えないけれども、
それでも関心の度合いは少なかったように思います。

政局と相場は、切っても切れない関係にあったのですが、
まさに今回の内閣改造は、
市場からは「しかと」されたような改造でした。

これには、福田首相自身が、何をしたいのか、
懸案をどのように片付けたいのか、
官僚の言うままに、
その作業を続けるのではないかという諦め感が強いことも、
内閣改造が市場に歓迎されていない要因と、
受け取られるものと思われます。

小泉首相の時は、
かなり市場にインパクトを与えたような感じです。

構造改革の手を緩めるのか否か、
小泉政権は市場にいつも評価される中で、
首相の構造改革を叫ぶ絶叫を評価して、
株価は政権発足直後の下落分を取り返す動きを見せていたものです。

少しでも、構造改革に後ろ向きになるものなら、
日本売りという言葉が出てきて、
実際、円安・株売り・債券売りに、
見舞われることもあったように記憶しています。

結局、官僚案で後退しそうになると、
小泉流の訳のわからない咆哮で、
官僚案が押し戻され、
結果として米国が望む構造改革が進んできたことも事実です。

市場は、小泉政権が続く限り、
構造改革路線が続く限り、
政権に対する支持を示していたものです。

しかし、安倍首相、福田首相になって以来、
市場からは今一つ方向が読み取りにくくなっていることで、
市場の支持はない感じです。

本来なら、福田首相が自前の内閣を持ち、
自前の政策を打ち出すことになったことで、
少しはご祝儀的な動きが見られても不思議ではないのに、
極めて冷静に内閣改造を受け取りました。

これからの嵐を予感して、
動けなかったのかどうか、
遠くない将来にその答えが出てくるものと思われます。

それにしても、市場に影響を与えられない福田政権とは、
どんな存在なのでしょうね。
(この項2008年7月執筆)



アドバルーン?で済ます米国流

【2009年2月6日】

住宅金融会社の問題について、公的資金の導入も辞さないと、
米財務省、FRBは強い姿勢を見せているものの、
実際は、公的資金を導入する際には議会の可決も必要で、
その意味では財務省やFRBが、
そのような方針を示したからと言って万全なものではありません。

民主党が多数を占める議会では、
さらに修正を加える必要があったり、
場合によっては政府案を否定することもあるわけで、
政府が決めた案が絶対のそのまま決められるとは限らないわけです。

しかし、米国は政府がこうした案に対する広報が上手で、
今回も住宅金融会社に対する公的資金導入は議会での論議が始まる前から、
決まったことのように意識され、
結果として、市場はそれまでの悲観的な見方一色から、
すべてが上手くいった方向で動きを速めるので、
その結果、株安やドル安が一気に収束する動きを見せるわけです。

そうなると、米金融不安に対する懸念が一気に払しょくされ、
米高官が唱える「ドル高は米国の国益に適う」という文言に沿って、
相場が動きだし、米金融不安・不信はどこに行ったのか、
という動きが見られるわけです。

しかし、実際には今、議会で真剣に議論されているところで、
まだどのような形で結論が出るのかわからないのに、
声高に語られることに市場は弱く、
アドバルーンにまさに踊らされる形となるわけです。

今回の件も、実際には公的資金を投入することは、
いかがなものかということになる可能性が否定できません。

市場の不透明感が抑えられれば、
政府としても公的資金の導入は極力抑えたいと考えているわけですから、
結局、何もしないということになる可能性はあります。

公的資金を導入するよりも、株の空売りを規制することで、
株価が過度に下落することを抑制できればいいわけで、
それがその通りに進めば、財政圧縮をしなければならない米国にとっては、
うまく立ち回ったということになるわけです。

これまでも、そうしたことは少なくなく、
まさにこういう宣伝は米国にとっては得意の分野ということになるようです。

米国にとっても市場を騙すのは簡単なことで、
「こうする」というだけで、
市場はそうしたように受け取ってくれるわけですから、楽なものです。

そういう意味では、日頃から市場には介入しない、
米国の姿勢が市場に強く評価されているわけです。

日本で、仮に空売り規制などを行えば、
世界中から抗議の声が上がり、空売りはしないまでも、
日本株から手を引く動きが強まる可能性も否定できません。

これは日頃から、市場に過度に介入していることで、
さらなる介入が嫌気されるということになるわけです。

日本に資金を呼び込もうにも、
そうした規制がある以上、
日本に資金を呼び込むのは至難の業と思えます。
特に、日本物に投資して、儲かる局面ではないだけに、
海外からの投資資金を呼び込むのは極めて難しいと思います。

それと対照的に、市場は市場に任せている米国は、
こうした緊急事態の時に、ある意味、市場からの信頼が厚く、
アドバルーンを上げるだけで、市場は踊ってくれるという、
安心理論が今の米国には強くあるのかも知れません。

(この項、2008年7月執筆)



米国は『失われた10年』の轍は踏まない?

【2009年1月30日】

米住宅金融会社の経営が問題にされて、
米国の対応は早いものがありました。

日曜日にもかかわらず、
ポールソン財務長官が問題解決について話し、
その後もFRBや議会との話し合いを行い、
まさにオールアメリカンで事の解決を図る姿勢を強めています。

ここに日本の失われた10年が、
米国にとっては反面教師となったようです。

当時、日本は不良債権処理を先送りする姿勢が強く、
銀行経営者は自己の責任を問われることを嫌って、
あるいは銀行の経営が悪化することを嫌って、
経営が悪化している企業に対する融資をやめることなく、
継続していたこともありました。

その企業が破たんすると、
銀行の資本が毀損するということを恐れていたように見えました。

また、政府も経済の血液と言われる銀行を潰すことには躊躇いもあったようで、
大き過ぎて潰せないという言葉が流行ったことも思い出します。

政府が思い切った策を打ち出せない中、
損失を過少申告していた金融機関の動きから、
なかなか公的資金の投入が果たせず、
何もしないでいるうちに、損失は見る間に膨らんでいき、
それが、企業の倒産を誘い、連鎖倒産を誘う、
負の時代につながったというわけです。

良いにつけ、悪しきにつけ、小泉首相はそんな状態を行動力で打破し、
潰すところは潰して、公的資金を大判振る舞いして、
何とか、本当に何とか金融不安の芽を摘むことが出来たわけです。

今、米国は何もしなかった日本政府の失敗に学んでいるようで、
即座に物事の処理を進めています。

そうすることで、サブプライムローン問題の負の部分を、
一刻も早く摘みたいと考えているように思えます。

ただ、問題はこれだけなのでしょうか?

この3月に、米大手証券ベアースターンズが破たんに追い込まれ、
これでサブプライムローン問題は決着との見方を市場に示しました。

市場は、政府の発言等々を睨んで、決着と思いこんだのです。

経済指標の悪化は、今が底という見方からすれば、
当然であるし、サブプライムローン問題も解決した。

そんな甘言に、乗った人は少なかったと思いますが、
でも政府が説明したことだから間違いはないと考えた人もいたと思います。

相場は、実に素直で、政府の言うことを信じて、
ドル買い・株買いという動きが強まったことも記憶に新しいところです。

しかし、政府の言うことはどこの国でも信じられないように、
米国でも政府は嘘ばかりを言うということになりそうです。

サブプライムローン問題のマイナスは少なかった、
そう唱えていても、結局は何も解決していないことが、
今回のことで明るみに出たのですから、
政府の言葉はますます信用できないということになりそうです。

しかし、今回も公的資金投入が囁かれると、
それで問題は解決した、そんな空気が市場に広がっています。

解決に向かっている、そう市場が判断してくれれば、
政府としては万々歳なわけです。

今まさに、そんな状態です。

日本と違って、相次いで策を打ち出したこと、
公的資金を投入すると早々に言明したことで、
日本のような株安を防ぐことに成功したわけです。

その意味では、日本の教訓が生きていると言えるのです。

逆に、人の○○○○で相撲を取るのが米国は得意ですからね。

(この項、2008年7月執筆)



ドル安是正を言い出した背景は・・・

【2009年1月30日】

ドルの動きがおかしくなっています。
いや、米国の株の動きもおかしくなっています。
ドル売りは株安を受けてのもの、
そういうことが言えると思います。
株安の原因は、米住宅公社の経営不振です。
サブプライムローン問題に端を発し、
米住宅公社の経営がおかしくなっている模様です。
米政府は、
住宅金融公社のファニーメイとフレディマックのどちらか、
あるいは両方の経営を引き受けることを検討中との報道が流れるなど、
米住宅公社の経営不振がここにきて明らかになっています。

米国市場では、これら住宅公社の株価が大きく下落、
これを睨んでドルが急落、相対的に原油価格が急騰し、
この動きが株売り・ドル売りという連鎖になっています。
この4月、
米国がG7でドル安の修正を意図する文言を声明に盛り込み、
その後、明確にドル安を是正する発言が財務省、FRBからも飛び出し、
さらにはブッシュ米大統領もドル安是正の発言を行いました。
ブッシュ大統領は、7月7~9日に開催された洞爺湖サミットでも、
ドル安是正を声高に主張しており、
この主張は各国に受け入れられたとの発言も出ていました。

ドル安が米国の景気の回復にとって、
大きな妨げになる可能性が強いことで、
それまで景気回負の支援材料としてドル安を、
有効的に使っていたと見られていたことを明確に否定することで、
ドル安のデメリットを解消しようとする姿勢を強めたのが、
4月からの動きといえそうです。

ただ、市場が考えている以上に、
米国の経済はサブプライムローン問題で傷んでおり、
さらに、米住宅公社の経営も予想以上に悪化していることが、
ドル暴落を誘うような市場の混乱につながる恐れがあったことも、
ドル安是正の背景にあったのではないかと、勘繰りたくなります。
もちろん、今回の米住宅公社の経営問題が、
突然、起きたわけではないことも明らかで、
米国売りにつながるような事態だけは何とか避けたい、
と考えていたと思われる節があります。

米国では、既に証券会社ベアースターンズが破たんし、
まだ経営破たんする大手金融機関があるとの見方が出ていました。
一部では、中小金融機関の経営破たんにとどまるのではないか、
との楽観的な見方もあったのですが、
住宅公社の経営問題が言われている通りであるなら、
なかなかこの闇は深いぞということです。

過去、10年以上、
米国の経済の発展の大きな材料は、個人消費にありました。
中でも住宅部門の好調さが、
米国景気の強力なエンジン役となっていたことは否定できず、
それが実は不正、詐欺的な方法で動いていたということが明らかになり、
その綻びが修復できない状況となっていることで、
住宅を巡る不透明感は一段と増してきていると考えます。

米政府は、こうした事態をとっくにお見通しで、
経営破たんが明らかになると、
株価にとって大きなマイナス材料になることを、
恐れていた節が窺われます。
米国にとっては、まず株価、次も株価、
何はなくても株価の上昇が政権維持のための重要なものなのです。
その株価に悪影響を与えることは、
何が何でも避けなければなりません。
株、ドル、原油価格の相関関係で、
株安=ドル安=原油高という公式が出来上がる中で、
米国としては、まず、
株安=ドル安を阻止する手段を選んだと考えます。
まだ、今なら底無しのドル安=株安になることはない、
そう考えてドル安是正を唱えたのでしょう。
しかし、事実の前には、
ドル安是正も虚しく響くことになります。
為替は不介入が原則、
そう言っていた米国が姿勢を変化させた裏には、
まだまだ厳しい、米金融不安、金融不信があったわけです。
(この項2008年7月執筆)



ドル安是正を言い出した背景は・・・

【2009年1月23日】

ドルの動きがおかしくなっています。
いや、米国の株の動きもおかしくなっています。
ドル売りは株安を受けてのもの、
そういうことが言えると思います。
株安の原因は、米住宅公社の経営不振です。
サブプライムローン問題に端を発し、
米住宅公社の経営がおかしくなっている模様です。
米政府は、
住宅金融公社のファニーメイとフレディマックのどちらか、
あるいは両方の経営を引き受けることを検討中との報道が流れるなど、
米住宅公社の経営不振がここにきて明らかになっています。

米国市場では、これら住宅公社の株価が大きく下落、
これを睨んでドルが急落、相対的に原油価格が急騰し、
この動きが株売り・ドル売りという連鎖になっています。
この4月、
米国がG7でドル安の修正を意図する文言を声明に盛り込み、
その後、明確にドル安を是正する発言が財務省、FRBからも飛び出し、
さらにはブッシュ米大統領もドル安是正の発言を行いました。
ブッシュ大統領は、7月7~9日に開催された洞爺湖サミットでも、
ドル安是正を声高に主張しており、
この主張は各国に受け入れられたとの発言も出ていました。

ドル安が米国の景気の回復にとって、
大きな妨げになる可能性が強いことで、
それまで景気回負の支援材料としてドル安を、
有効的に使っていたと見られていたことを明確に否定することで、
ドル安のデメリットを解消しようとする姿勢を強めたのが、
4月からの動きといえそうです。

ただ、市場が考えている以上に、
米国の経済はサブプライムローン問題で傷んでおり、
さらに、米住宅公社の経営も予想以上に悪化していることが、
ドル暴落を誘うような市場の混乱につながる恐れがあったことも、
ドル安是正の背景にあったのではないかと、勘繰りたくなります。
もちろん、今回の米住宅公社の経営問題が、
突然、起きたわけではないことも明らかで、
米国売りにつながるような事態だけは何とか避けたい、
と考えていたと思われる節があります。

米国では、既に証券会社ベアースターンズが破たんし、
まだ経営破たんする大手金融機関があるとの見方が出ていました。
一部では、中小金融機関の経営破たんにとどまるのではないか、
との楽観的な見方もあったのですが、
住宅公社の経営問題が言われている通りであるなら、
なかなかこの闇は深いぞということです。

過去、10年以上、
米国の経済の発展の大きな材料は、個人消費にありました。
中でも住宅部門の好調さが、
米国景気の強力なエンジン役となっていたことは否定できず、
それが実は不正、詐欺的な方法で動いていたということが明らかになり、
その綻びが修復できない状況となっていることで、
住宅を巡る不透明感は一段と増してきていると考えます。

米政府は、こうした事態をとっくにお見通しで、
経営破たんが明らかになると、
株価にとって大きなマイナス材料になることを、
恐れていた節が窺われます。
米国にとっては、まず株価、次も株価、
何はなくても株価の上昇が政権維持のための重要なものなのです。
その株価に悪影響を与えることは、
何が何でも避けなければなりません。
株、ドル、原油価格の相関関係で、
株安=ドル安=原油高という公式が出来上がる中で、
米国としては、まず、
株安=ドル安を阻止する手段を選んだと考えます。
まだ、今なら底無しのドル安=株安になることはない、
そう考えてドル安是正を唱えたのでしょう。
しかし、事実の前には、
ドル安是正も虚しく響くことになります。
為替は不介入が原則、
そう言っていた米国が姿勢を変化させた裏には、
まだまだ厳しい、米金融不安、金融不信があったわけです。
(この項2008年7月執筆)



住宅価格神話

【2009年1月16日】

サブプライムローン問題の深淵は、
「住宅価格神話」にあったようです。
住宅ローンを組めない低所得者に、
住宅ローンを組めるように仕組んだマジックの根源は、
住宅価格は永遠に上昇するという、
何とも情けない「金融工学」でした。

本来、低所得者が住宅ローンを組みには様々な制約があり、
収入が担保されない限り、住宅ローンを借り入れることは、
不可能に近いことでした。
しかし、米国は空前の住宅ブームで、既に住宅ローンを組める層は、
住宅ローンを組んでおり、結局、住宅ローン会社は、
新たな借り手を探さなければならなくなったのです。

その時に、金融工学を駆使して、
住宅ローンを借りることが出来ない人たちにも、
住宅ローンを貸せるマジックが浮上したのです。
それが、住宅価格は永遠に上昇するというマジックです。

当初、借り手はサブプライムローンを借りて、住宅を購入します。
給料が上がらなくても、住宅価格が上がることから、
購入した住宅を担保に別の金融機関から有利な利子で、
住宅ローンを借りて、最初の利率が高くなる、
サブプライムローンを返済するというわけです。
住宅価格は永遠に上がるという、前提で住宅ローンを貸すわけですから、
最初にサブプライムローンを貸した金融機関は、
リスクを上手に回収できるというわけです。

借り手も、当初は大きな借金を背負っても、
住宅価格は永遠に上がるわけですから、
住宅を担保に、次から次へと住宅ローン転がしをしながら、
住宅価格の上昇を背景に、住宅託ローンが返済できる。
今、お金を持っていなくても、住宅という実物を持てば、
それが借りたお金で自分のものに出来るというわけです。

また、貸し手に対しては、サブプライムローンで貸した債権を、
プライムローンの債権などを組み合わせた仕組み商品にし、
その際、サブプライムローンの信用度の低さを、
プライムローンの信用度の高さを利用して、
仕組み商品そのものを「AAA」格にして、
売り込むという手段を用いたわけです。

サブプライムローンの比率がどんなに低くても、
サブプライムローンに瑕疵があれば、
それは「AAA」格という商品ではないはずなのに、
「AAA」格というブランドにして売り込んでしまったのです。

住宅価格は永遠に上昇する、
サブプライムローンを組み込んだ仕組み商品を、
「AAA」格にした、そういうまやかしで、
優良商品と思わせて市場に売り込んだ、
あざとい金融業者が金融不安、信用収縮を招来したわけです。
その裏には、金融工学を駆使した等々の枕詞がついて、
それを推奨した学者の存在があるわけです。

結局、金融というものを、
金融工学という試算の世界で計算して、
永遠に収益を上げられるという化け物を作ったわけです。

日本のバブル崩壊時には、
「土地神話」というのがありました。
まさに、それと同じことを日本のバブル崩壊から遅れて、
米国では「住宅神話」という名で行われたわけです。
日本のバブル崩壊が少しも役に立っていないわけで、
米国からすれば、日本と同じ間違いはするわけがないと、
思っていたのでしょうが、今になって考えてみると、
まさに米国は日本の後追いをしていたのです。

ただ、日本はバブル崩壊が日本の国内にとどまったものの、
米国はそれを商品として世界規模で売り込んだ分、
波及は大きかったのです。
(この項、2008年7月執筆)



続・政策転換

【2009年1月9日】

今回は米国の政策転換です。
米国はサブプライムローン問題が浮上して、国内金融市場が不安定となり、
さらに景気が悪化し始めた時には、それまでのドル相場の水準を下落する、
いわばドル安政策をとっている節がありました。
当初は、米国の金融機関に対する不信感がドル売りの背景にあり、
それを米当局は容認していたわけです。
しかし、その後、米景気の悪化が確認され始めると、
FRB議長が議会証言でドル安を想定させるような発言を行い、
まさにドル安が米景気の悪化を支える要因であることを公然と認めました。
また、ドル安が続かないと、景気を支えるものが見つけられないこともあったようです。
ドル安を維持することで、輸出競争力が出て、
経済に対する波及効果が出ることを期待した、そう考えています。
輸出が拡大することで、雇用が維持できれば、
米国にとって言うことはない状態になるわけです。
しかし、足元では、米国は公然とドル安是正策を打ち出しました。
4月のG7で、その流れは見えてきたわけですが、ドル安が進むことで、
投機資金が原油価格など商品価格に流れ、
ドル安=商品価格高という格好で、
インフレに結びつく可能性が出てきたことが大きな要因です。
4月G7以降見てみると、確かにドル安=原油価格高という形で市場が動き、
原油価格の上昇がインフレの火をつけようとしている状況にあることは否定できないだろう。
さらに、ドル安=食料品価格の上昇という動きも一方で見え、結局、ドル安を容認していると、
それがインフレという形で跳ね返ってくる、それが一番の問題だということで、
ドル安是正を進めているのではないでしょうか。
ドル高にも問題があります。
もちろん、経済が低迷する中でドル高が進み過ぎると、
ますます経済が悪化するというジレンマもあります。
しかし、今は、ドル高のリスクよりも、
インフレ抑制に米国の政策の主眼が移ってきたということでしょう。
だから、ダイナミックな形で政策転換が行えた、そうとも見えます。
これがもし日本なら、こういう行動が取れたでしょうか?
いや、日本も原油価格高騰、食料品価格高騰で、インフレの芽が出ています。
本来なら、円安を喜んでいられない状況なのですが、
米国がドル安是正を先に行ったことで、
円安のリスクを背負い込むことになるのでしょうね。
今回の原油価格上昇など、投機マネーが招いた商品価格の上昇は、
世界経済を根底から揺るがす、
大変な事態を巻き起こす可能性が出ています。
誰が、鈴をつけるのか、誰が暴走を止めるのか。
新たな金融不安が起こらないと、
先ずは自国可愛さの政策を各国が採るのではないかと思います。
それが世界経済崩壊の引き金とも知らずに・・・。
(この項、2008年6月執筆)



政策転換

【2009年1月3日】

通常、政策転換という時には、金融政策の転換を意味することが多く、利上げ・利下げ・据え置きを巡って、
市場では思惑が強まる中、これらの動きを睨んで、市場は大きく動揺することがあります。
もちろん、その前にはインフレ指標、あるいは景気の減速などの指標発表などがあり、
これを受けて中央銀行は金融政策の転換を行うわけです。
市場からすれば、ある程度は織り込み済みとの見方もでき、金融政策の転換はわかりやすい材料に
なるわけです。
ただ、かつてのドイツ連銀のように、市場に動揺を来すのが政策転換の醍醐味とばかりに、
市場に織り込ませない政策転換を行うところもありました。
これに対し、グリーンスパン氏が議長を務めていたFRBは、市場との対話を十分に行い、
市場が納得する利上げ・利下げ・据え置きを行う中央銀行もありました。
市場に過度の思惑を持たせずに、FRBの発する材料をきちんと読めば、自ずと政策の向かう先はわかると
ばかりに、懇切丁寧に市場との対話を行い、無用の混乱を避けていたものでした。
確かに、この方法は、金利も為替も株価も混乱することもありませんでした。
しかし、市場は時に、FRBの発する材料を理解できずに、FRBが意図する方向と逆に動くことがありました。
そういう時には、グリーンスパン氏や他の連銀幹部が、市場にわかりやすくいとする政策を説いて回りました。
その結果、市場はFRBの意図する政策を理解し、為替、金利、株価はFRBの意図する方向に進む
というわけです。
さすがに、グリーンスパン氏のFRB議長の在任期間が少なくなると、その方法も効かなくなりましたが、
それでも市場から神格化されたFRB議長の発言は、市場には重く受け止められたものでした。
日本も、これに倣って、市場との会話を行うことを心がけましたが、やはり、日銀の限界があったようで、
実際には市場との対話はまだ上手くいっていないという印象が強いです。
それでも、以前に比べれば、日銀は市場に情報を発していることは間違いなく、
以前と比較した場合には市場との対話を心がけようとしているとの印象はあります。

(この項、2008年6月執筆)



講座という名の「反省会」?

【2009年1月1日】

このカテゴリーは、過去に記したものの、焼き直しです。
自分が、その時にどのように判断していたか、相場を巡るニュースをどのように捉えていたか、
あるいはジンクスはあるのか、経験則的にどのように考えるのかなど、記者として色々学んだことを
書き込んでいます。
時には、唯我独尊的なことになってしまうのかもしれません。
ただ、相場を愛していることには人には負けないと思っています。
状況が変われば、思いも変わる、しかし、書いたことは永遠に残る、
そんな文書は消してしまいたい、そう思うことが多いのですが、
でも恥を晒して、皆さんに読み取っていただきたいと思います。
そうすることが、天狗にならない一番の方法ですからね。



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